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2011年3月14日 (月)

気象庁とか原子炉対策の発表を聞いて思う事。

 今回の東北地方太平洋沖地震、、、その前の3/9の三陸沖地震、M7.3の地震だ。
 この地震の被害では、牡蠣の養殖イカダ、ワカメの絡み合いで被害を受けたとの漁師の方の話がニュースで流れていたけど、このニュースの時には、その時の地震は、通常のプレート境界で発生する地震とは無関係という気象庁の発表があった。

 しかし、3/11の激しい地震があって、関連があったかも知れない的な気象庁の発表である。

 その時の会見は今でも覚えているけど、3/9の震源域はプレート境界から離れているし、震源深さも違うから関係無い的な話だったんだけど、、、、

 勿論、それだから今回の大きな地震が南海トラフと無関係といっている事を信用しない訳ではないのだが、専門家のいうプレートが違うから関係無いとも言い切れないような気もする。結局は力学のバランス。隣接する三つのプレートの力学の関係が崩れたのは事実であり、無関係とは言えない。正確には精査しないと判らないというのが公共に対する発表として適切なんだろうけど、、、、ちょっと、腑に落ちない。

 それとは全く別の話だが、福島原発の異常時対応の段階について。
 本来は、異常が生じたら、原子炉に制御棒を入れて冷却システムを起動する。しかし、冷却システムが停電で起動出来なくなるとディーゼル発電機によるバックアップ系冷却システムを起動。それもだめなら、ヒートポンプ的に熱を除去するシステム。

 しかし、今回は三つのバックアップが全て機能しなくなった。

 で、どうしたか?っていう、炉心に外部強制注水で炉心の冷却水位を確保する処置を講じた。

 しかし、注水しても水位が回復しない。

 で、どうしたか?っていうと、原子炉を被う原子炉格納容器全体に海水を注水。

 これで冷却、、、、、ホントか?

 原子炉の冷却が機能するのは、発生熱を配管による排水で冷却するから叶う筈。

 しかし、原子炉外の原子炉格納容器全体を水で満たして大丈夫?っていうのは、外部との熱のやりとりは、原子炉内の水。原子炉外で原子炉格納容器内の水は外部と入れ替わるためのルートを持っていないのである。熱を奪うと同時に、原子炉格納容器内の水は熱を蓄えるだけである。排熱は?っていうと、原子炉格納容器壁と空気の空冷だけだ。
 当然、強度を持つ容器だから100℃以上になっても蒸発はしないけど、内圧が確実に上昇するはず。炉心の温度が2700℃以上になったとの報告もあるけど、原子炉内+原子炉格納容器全体を水で満たしたとして、その全体の温度が絶対に100℃を越えないという担保があるのだろうか?凄く疑問である。

 完全に反応が停止しないとなると、、、、、逆に原子炉格納容器内に注水した海水自体が保温材となって温度降下を妨げるような、、、、そんな感じ。

 さらに、原子炉格納容器内の海水は原子炉内の燃料棒を冷やす水と同じもの。何故ならば、原子炉内注水を講じても水位が回復しないのは、原子炉内と原子炉格納容器の間が通じていると言う事。つまり、原子炉格納容器内全体が原子炉内と同じ様な状態。そこに大量に満たした海水って、その後、どうするの?っていうのも、これも疑問。

 今回の原子炉格納容器内全てを海水で充填して原子炉内も海水で水位を回復させるというのは、発生する熱が冷却水側の熱容量で100℃以下に抑えられるという前提の博打的な要素を含んでいるように危惧してしまう。

 この辺の話は官邸発表では一切無いし、記者の質問も無い。

 原子炉のバックアップとして、起動状態から停止させる時に100℃以下に冷却するために必要な水量を水槽等で確保して最悪の状態でも保持水で対処するという処置も必要だったように思う。最悪、設備を水没的に冷却出来る担保が無いっていうのは、最低限度必要な事だったのかもしれない。こういう想定があるならば、少なくとも原子炉格納容器無いを水で満たせば確実に何時間で何℃になるという発表があるはずだが、そういう保険で原子炉格納容器のサイズ決定はしていなかったのだろう。

 今回の発表を聞いて思うのは、圧力状態を注視しながらベント操作を行うとの事で、未だ緊張感が高い様子だが、ベント操作自体が想定外のような東電、政府の発表であり、今回の海水注入というのは、その対処で温度が100℃になるかどうか?っていうのは、実は、誰も把握していないようにも感じる。

 報道で安心させるには、少なくとも、今の状況は何?それとリスクは何?それから次の一手があるのかどうか?それに合わせて避難指示がどうだ?をハッキリ判りやすく報道すべきだろう。現状、炉内圧力が0.25MPaとのこと。保安院の発表から言えば悪くない数値らしいけど、0.25MPaというと2.5気圧。少なくとも炉内温度は100℃以下ということは無い。それはそれで良いとして、格納容器に海水注水して炉内圧力がどう変化したか?その変化の傾向はどうか?炉内耐圧は幾らで、設計上限はいくらか?格納容器の耐圧は幾らで設計上限が幾らか?その辺の具体的数値が安心と信頼に繋がるように考えたりする。

 現時点では、原子炉格納容器内に海水を注水しても原子炉内には必要な水位が確保出来ていないということ。直感的には原子炉内は結構な圧力状態になって、原子炉外原子炉格納容器内よりも高圧になっているのだろう。それ故に、原子炉格納容器経由で原子炉内に注水が思うように行えない。原子炉と原子炉格納容器の圧力差を無くすためのバルブ系統の動作が完全で無いとういのが想像出来るが、原子炉格納容器に注水した状態で、そのバルブ系統に対するアクセスの手段に何があるのか?等々、色んな思いが巡る。

 この辺りの情報公開が何よりも大切で、現状に対する処置として選んだ選択肢の正当性を含め判りやすく発表し、それに応じた避難行動を示すという事が何よりも安心と信頼を生むように思う。

 昨日の避難指示を半径20kmに拡大したのは、念のためと言う事だったけど、論法的にはやはり違和感を感じた。下手に説明すると不安を煽るという事もあるかもしれないが、この辺がどうにも釈然としない。

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