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2011年4月 2日 (土)

新処理を施した新型無注水起動軸受で試験再開

 東北地方太平洋沖地震の発生前、3/7に仕様を決めた新しい処理を施した新型無注水起動軸受が入荷した。

 この軸受システムは基本はステンレス鋼材を機械加工して製作するもの。ステンレス鋼という焼き付きやすい材料ながら、構造と形状と形態を工夫することで土砂摩耗の激しい環境から焼き付きやすい無注水環境における摺動をほぼ永遠に行う事の出来るシステムである。

 しかし、構造と形態だけでは完全な機能を維持する時間に制約が生じる。通常材のままでは、基本的には問題は発生しない長期的には徐々に機構的な耐摩耗システムの機能が低下する。
 そこで、その機能を著しく長寿命化するための化学的な手法による処置を施していた。

 しかし、ステンレス鋼ベースに較べると、処置を施す事によって、その処理コスト、その後の加工数、加工時間のコストが大きくのし掛かっていた。

 そこで、処理コストを最小に留め、その後の加工系コストを発生させないでシステムの性能を著しく向上させる手法を採用した。

 本システムでは無注水摺動と耐土砂摩耗、耐境界潤滑摩耗の両立が求められている。

 従来システムでは無注水摺動は完璧、耐土砂摩耗が起動、停止時に機構による効果が減少する事、、耐境界潤滑摩耗が固体摺動条件に近い領域で懸案として残っていた。

 耐土砂摩耗性を発停時に維持するには摺動面硬度で最低でHv=1000以上は確保したいし、耐境界潤滑摩耗性を広い運転域で確保するには最低でHv=800以上は確保したい。
 そのHv値の根拠は、摺動隙間に噛み込む砂の硬度以上であったり、固体摺動化における軸材側の見なし硬度以上を数値として採用している。

 因みに、システムの機能検証ではSUS316をそのまま利用しているが、これはHv=200程度であり、過剰な土砂混入、異常荷重を受ければ摩耗による摩滅が生じる。その比摩耗量自体は問題になる量ではないが、採用を検討している先行待機ポンプでは日常的に無注水運転が行われるので、定期的な交換が望まれる。交換間隔は使い方次第だが、同系のポンプに採用した実績では概ね3年程度での交換が理想である。

 そこで、その数少ない欠点を解消したものが、SUS材に表面処理を施して硬度としてHv=1400以上を実現したものが製品として想定していたものである。しかし、処理コスト、後加工コストの発生で、従来比で+80%程度のコストが発生しており、そのコスト圧縮の要求に対して行った回答が今回の物である。

 今回の処理は、基材ステンレスの不導体皮膜を還元雰囲気で除去しながら材料表面から内部に掛けて傾斜的に材料を硬質化する処置を施した物であり、摺動面硬度は未処理剤のHv=200が大きく向上し、Hv=1000~1200となっている。
 この処理の優れた点は、材料内部から表面物質に向かって傾斜的に改質されており、皮膜と異なり剥離リスクが無いと言う事である。この処置では、SUSベースから概ね+20%程度の価格上昇で施工できるものである。

 今回、地震等の影響でモノの入荷が遅れたが、4月一週を目処に試験を再開する予定である。

 これは、個人的にはT社、H社のエンジニアには是非使って頂きたい。

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