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2011年5月26日 (木)

無注水摺動耐久試験:無注水軸受改質材×LPCDLスリーブ

 これまでに、無注水軸受の構造効果実証軸受と実用想定軸受を用いて特殊スリーブとの無注水摺動試験を行ってきた。

 実用想定品では、摺動表面を硬質皮膜で覆ったモノを用いているが、構造検討材では、摺動表面は通常材の生材のままである。

 一応、構造検討軸受でも所定の性能を発揮している事を確認したが、無注水摺動環境外における土砂摩耗等も考慮すれば、硬質皮膜処置を施す方が良好な結果を得る。

 しかし、この処置を施す事で価格的な上昇は不可避であり、その問題を解決するために、最低限度のコスト上昇で大幅な耐摩耗性を得る事を目的に、生材に皮膜を施すのでなく、生材を改質することで性能を高めた中間品の評価を行う事とした。

 今回の軸受に組み合わせるスリーブはLPCDLというタイプで、このLPCDLを用いたこれまでの軸受による摺動試験結果は、

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1.供試材料
・滑り軸受:完全ドライ対応のカットレスジャケットベアリングの製品プロト
      内径100mm、摺動長55mm
・スリーブ:C/Cコンポジットマトリックスの改質材料、開発コードは、LPCDL

2.摺動条件
・摺動環境:完全ドライ×2[hours]
・ラジアル負荷:0.20[MPa]×6[m/sec]
        0.85kgのウエイトを偏芯半径130mmで1200rpm

3.結果
・摺動トルク:1.85[N・m]→1.35[N・m](2[hours])→1.85[N・m](24[hours])
・軸変位(隙間+振動):570[μm]→630[μm](2[hours])→575[μm](24[hours])
・温度復帰後歳差増分:575-570=5[μm]

である。同じLPCDLスリーブで軸受の違いのみで比較すると、

★カットレスジャケットベアリング構造検討軸受×LPCDL(Hv=3000~5000、μ=0.1)
・摺動トルク:1.6[N・m]→1.2[N・m](2[hours])→1.55[N・m](24[hours])
・軸変位(隙間+振動):760[μm]→850[μm](2[hours])→790[μm](24[hours])
・温度復帰後歳差増分:790-760=30[μm]
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こんな感じ。これに対してどうなるか?

★カットレスジャケットベアリング改質材×LPCDL(Hv=3000~5000、μ=0.1)
・摺動トルク:1.2[N・m]→1.4[N・m](2[hours])
・軸変位(隙間+振動):520[μm]→750[μm](2[hours])

温度復帰してからの実質変位増分は明日測定予定。冬場の試験より環境温度が少々高いので等価には比較出来ないが、軸変位は、初期に変位増大してから静定傾向にある。
他のスリーブを用いても傾向的には変化は無さそうだけど、一応データ収集が目的だから実施する予定。

この一連の試験が終わると、いよいよ水中における耐摩耗試験だ。

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