新型軸受の耐摩耗特性
先日、新型軸受の比摩耗量について、スラリー濃度が3000ppm以下では従来ジャーナル軸受より比摩耗量が小さくなる旨の記事をアップした。
で、今回は、スラリー濃度を想定の3000ppm状態として、比摩耗量と相関する因子を探し出す試験を行った。
試験装置では、軸の回転速度と軸受を通過するスラリーの流速は独立であるが、一般のポンプでは、軸の回転数とスラリー流速が関連する場合もある。この辺りの条件の違いが有る事を承知で試験を行った。
試験では、スラリーの軸受部通過流量を一定、つまり軸受隙間を通過する流体の線速度は一定という条件だ。
この条件で、軸回転数を変化させて摩耗量の計測を行った。
結果、、、、、時間が同じ条件で、回転数が速い、即ち、摺動距離が長い時の方が摩耗量が少ないという興味深い結果となったけど、これは、摺動隙間に入り込む粒子が隙間外に迂回するという当たり前の現象が生じただけであり、これこそ、この新しいシステムの耐摩耗性向上に期待する効果そのものである。
回転体においては、回転数が高い程、粒子は回転の外周方向に移動しやすくなる。外周に移動しやすい粒子が軸方向に流れる場合、流れる経路に複数の選択肢があれば、経路の通過抵抗比に逆比例して抵抗の少ないエリアに粒子が選択的に流れるだろう!という仮説に基づいて設計した軸受システムであり、そのシステムの仮説通りに、スラリーが流れたのである。
当たり前の結果を当たり前に得ただけだけど、この当たり前の結果において、機能を発揮させる上での数値の最適解は幾らか?というのを、これから探していく訳だ。計算で行うのは難しいので、試作した軸受システムの部位に手を加えて効能を変化させて、効果の変化を確認して行くのである。
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