« 勝ち負けか? | トップページ | 発端がレコーディングダイエットのメモだから、、、 »

2011年10月17日 (月)

ゴムを用いたジャーナル軸受

 表題の質問が多いので、特別に記事にする。
 ジャーナル(滑り)軸受にゴムを用いる。用い方は二種類。一つはゴム自体が摺動部材として用いられる場合、もう一つはゴム自体は摺動部材の緩衝材料として用いられる場合がある。更に、緩衝材料として用いられる場合の摺動材が、円筒形状か分割形状かによっても分類される。

 ゴムを用いるメリット、、、、それは、やはり緩衝性能だろう。振動の抑制、衝撃の緩和、これに尽きる。これが最大のメリット。

 では、ゴムの欠点、デメリットは何か?

 それは、、、、軸受という構造で必須のベアリングハウジングへのゴムの取り付け。ハウジング自体が金属材料であり、その内壁にゴムを設置する、、、これは固定が難しい。一般には金属材料にゴムを配置する場合、接着剤を用いるけど、その接着剤の下処理が大変。これは、有機無機を結合するシランカップリング剤等を用いるけど、その施工は簡単ではない。
 当然、ゴムを緩衝材として用いる場合、そのゴム上に摺動材を配置するとしても、その接着には同じ理屈の手法が必要。これも大変。

 次、ゴムの耐久性も問題。水中、油中での使用では確実に膨潤であったり、溶出による痩せの問題も発生する。熱負荷による劣化、形状変化も不可避。材料として一番耐久性の低い部位がゴムであり、ゴムの耐久性が軸受の耐久性となる。

 次、ゴムの温度変化に対する形状安定性も問題。そもそも可逆範囲での耐熱上限は150[℃]程、、、つまり、これ以上の温度域では使用困難。それ以上は軟化し、250[℃]を越えると溶融が始まるモノもある。350[℃]を越えると炭化するモノもある。それとは別に、ゴムの熱膨張係数は金属材料の大凡10倍である。これは非常に深刻な欠点。ゴムが摺動材であったり、緩衝材として分割型摺動材を支える構造の場合、温度変化によってゴム厚が増加する。つまり、軸受として考えると、緩衝材厚さが増加して、温度上昇に従って軸受内径が小さくなる。これは、滑り軸受において摺動発熱を増大させる方向の変化で深刻な異常状態に突き進む事を示す。これが最大の欠点。摺動材自体が円筒一体モノであっても、ゴムの弾性保持限界が150[℃]程度であり、それ以上になると軸受剛性が確保出来ないので、やはり厳しい。

 以上、総合すると、、、、高粘度環境、無潤滑環境等の発熱環境ではゴム軸受は適さない。それは、熱膨張係数が金属材料の十倍以上という大きさと弾性保持限界温度の低さが最大の欠点。因みに、ゴムと金属、ゴムとセラミックスの接合保証温度は幾らか?というと、語られる事が無いけど、ズバリ150[℃]である。それは、シランカップリング剤のシランカップリング結合の分解点が、この温度だから。この温度に到達すると接着力は不可逆で失う。これも大きな欠点。他には、海水、有機物に弱い。

 逆に言えば、上限温度が150[℃]を越えない範囲では非常に良い選択である。無注水摺動とか、ドライ摺動、高粘液潤滑、或いは、劣化を促進する海水、有機溶剤中での利用を避ければ非常にメリットが大きい。清水中で用いる大荷重軸受としては最高の選択肢の一つである。

 自分も一世代前は、新開発セラミックス+オリジナル配合ゴムの軸受で無注水軸受を製作し、ドライ摺動1時間以上の性能を確保し、実際に市場に投入したけど、この使用条件を確保するために生まれた設計的制約が、別の問題を引き起こし、今では、設計的制約を取り除いた新しい軸受システムに移行した。なお、新しい軸受システムにゴムのような材料は全く用いていない。ゴムの欠点を除外するには、ゴムを使わない、、、これが一番の近道だからだ。

 因みに、この設計的制約の解決には、様々な仮定に基づいたモデルを作り検証した。その制約の元になった挙動を単語として、社内のドメインからの検索が掛かり、このブログに辿り着いた人も居るけど、現象が引き起こされるモデルの仮定という想像的な作業が出来なければ、恐らく解決する事は出来ないだろう。どんな解決法を講じるか、チョイ、見物。
 この解決法、小手先の解決では経時使用で再発する。根本解決が何か?それを考えるのが大事。まぁ、頑張れ。そう言えば、解析!解析!って言うヤツが居るけど、解析、無意味。仮定を作ってモデルを作るのが先。解析!って言うヤツの結果程、当てにならない。

|

« 勝ち負けか? | トップページ | 発端がレコーディングダイエットのメモだから、、、 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ゴムを用いたジャーナル軸受:

« 勝ち負けか? | トップページ | 発端がレコーディングダイエットのメモだから、、、 »