カーボン繊維強化材料
繊維強化材料、自転車ならCFRP、、、自分の仕事の相手ならC-Cコンポジット、、、そういうモノ。
これ系の材料、最近は色んな工業分野で使われており、需要が高まりすぎて、個人的には嫌、、、だって、自分の作っている材料の原材料調達費が近年うなぎ登り、、、、
そんなカーボン繊維強化材料、、、古くは、ロータリーエンジンのアペックスシールなんかにも使われていた。これは、アルミとの組合せ材料だったはず。
最近は、航空機構造材料、自動車構造体、自転車構造体、、、、こんなところに使われている。肝は、繊維で補強するということだから、補強したい形状に繊維を沿わせるのが鍵。一本の伸び縮みしない繊維を組み合わせて立体形状にする事。糸を繊維にして積層する、、、そういうのがスタンダードだけど、最近は、日本古来の紐編みの技術を使って編み機で三次元の複雑形状を境界無しで編み上げて作ったり、、、そう言う方向に進歩が進んでいる。レクサスLFAのAピラーなんか編み上げ繊維で強化したCFRPを使っているだろう。
しかし、所詮は強化のための複合構造であり、その強さは複合状態が健全に(弛まない?粗密が無い?切れてない?)保たれるか?が重要。安価な強化材料である自転車フレームなんてモノは、シートを併せて立体形状を形作っているけど、その立体形状は繊維が密に合わさって樹脂を強化している。繊維で強化された樹脂の強度は、繊維が切れて居ない事が最低条件。そして繊維が剥離していない事も重要。デラミネーションを起こしてブリスターが現れていると厳しい。
因みに、繊維糸断裂、繊維剥離は、複雑薄肉形状では、X線、超音波で検出するのは困難。可能性としては音響法くらいか?
ただ、そんな検査も無料では済まない。検査するくらいなら、交換、、、、これが筋だろう。
この手の複合材料は複合界面が鍵であり、繊維自体のみならず界面剥離等が生じても元の性能は維持出来ないのが道理。そして、複合界面の健全性評価の方法が非常に難しいのが問題。それ故に、大きな衝撃や荷重を受けたモノは、、、、単車のヘルメット同様、基本は使い捨てなのだ。不注意でゴミになる可能性、小さくないのだ。
因みに、このような繊維強化材料、交換してゴミにする、、、その場合、リサイクルは非常に難しい、、、実際、不法係留でゴミ化したFRP製のプレジャーボートなんて良い例。まぁ、最近は硬化樹脂に熱硬化性樹脂から熱可塑性樹脂にして、、、ってそういう取り組みも無くないけど、熱加えたらふやける樹脂っていうのも、どうもねぇ、、、、
そんなカーボン強化材だけど、今やロードバイクというとカーボンフレーム、、、こんな時代。
実際、各ブランドの商品には、カーボンフレームを採用したモノが多く、如何にも先進的な感じで市場を賑わせている。
ただ、、、個人的には、カーボンフレームは好きではない、、、、っていうか、嫌い。ホントは、十年前のカーボン的な扱いで普及したアルミよりも、個人的には、粘り強く頑丈な鉄が好き。アルミは理屈の上では小さな疲労も蓄積するから、、、そういう理屈もあるけど、アルミで嫌いなのは材料自体が強くない。細部の摩耗や腐食は結構気になる。鉄は細部が強く、腐食防止の塗装の乗りもアルミより優れる。アルミ塗装は剥がれやすいし、アルミ地では腐食したら醜いから。アルミ本体に部品を取り付けるネジ穴なんて、カシメで本体に付けられている事が少なくないけど、その部分のカシメがバカになる例は単車等で数多く見てきたし、そのネジ穴が緩んだネジの振動でバカになっている事も何度も見てきた。そういうのは嫌い。そういう部分がガッツリムク材が溶接されてネジが切ってあるんなら良いけど、、、
CFRPが嫌いなのは、、、やはり細部で見ると弱いし、局部で荷重を受ける部分は別の金属との接着接合が不可欠、、、全体も繊維強化という複合構造、、、基本、複合形態というのは、その界面状況次第で材料は決まる。その時点で好みでないのである。
衝撃、荷重、、、その辺を受けたらどうなるか?なんて、調べようがない。リスクを感じたら交換出来る範囲で利用するのは好きだけど、そうでない部分に利用するというのは気分的に嫌いなだけ。フレーム、リムといった材料にカーボン材料を使う事に躊躇するというのがホントのところ。
自転車では落車、転倒、段差、、、こういうのは付き物。ドロップハンドルが目一杯切れてハンドルとトップチューブの衝突、、ありがちな光景だけど、その程度のアクシデントで心配しないといけないフレームなんて、、個人的には選択肢に無いし、公道で突如現れる段差、グレーチングの隙間で衝撃を受ける可能性のあるリムにカーボン、、、これも無い。
先日、自転車のCFRPモノコックの表面クリアが剥離したんだけど、どう?って相談を受けた。
現物を見た範囲では、クリアが一部剥離仕掛けたような状況。クリアの剥離部は直径10~15mm程度の円形形状という状況で、詳しく聞くと横転した時にハンドルが切れて下ハングリップ部とトップチューブが衝突して生じた傷との話だそうだ。それで大丈夫か?なんて判断は出来る筈も無く、一応、剥離しているという事実から言える事を解答したのだけど、、、、、
どう解答したか?というと、クリア=アクリルだろう。CFRPはカーボン+エポキシだろう。アクリルが剥離した状態というのは、カーボンの瞬時変形がアクリルの変形限界を超えた結果生じたものというのが見て取れるけど、それでカーボン繊維が無事かどうか?は正直判らないという解答に留めておいた。
押し曲げで剥離した場合、パイプの内側の方が大きな引っ張り応力を受けているだろうし、変形に伴う繊維間の繊維とエポキシの密着がどの程度確保されているか?は、検査しないと判らないのだ。検査するなら音響法でフレームメーカーに検査を委ねるのが良いのでは?という解答だ。
仮にこれが自分の自転車なら、それは既にゴミ扱いだけど、こういう転倒で、こんな懸念が生まれるっていうのは、、、、やはり敬遠してしまう。少なくとも、自分の単車とか自転車で、こういう状況になると、やはり乗れない。
これが、鉄のような弾性材料であれば色が剥げたくらい気にならない。アルミだと多少の心配はあるけど変色を伴った変形が無ければ気にしない。しかし、複合化によって高弾性を得ているCFRPなんて、、、
ただ、個人的な仕事では、カーボン繊維強化材料様々である。これは凄い可能性と未来があると思う。ただ、自分の利用方法は構造体としての強度を機能に求めている訳では無いけどね。
個人的には、複合構造によって構造体の強度を謳う考え方は嫌いなのだ。どうも、小手先的な技術に感じるから。
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コメント
こんばんは!
ビーンズハウス、購入されたそうですか!
最近では入手困難ですから、大事にレストアして下さいね!
ところで、ノーマルのクランクですが、実は、当ブログのお客さんで在広の方に既に譲っており、手元に御座いませんので、御期待に添う事が出来ません。
それから、ガンマの500の車体ですか!イイですね!ガンマ500のエンジン、なかなかエンジン単体で入手するのは難しいかも知れません。
既にオーナーの方の場合、恐らくストックとして大事に保管されていると思います。ガンマのエンジンを入手するには、、、一台購入する覚悟で車体狙いでないと難しいかも知れません。
関東方面でしたら、昔、ミドルクラスってショップがありましたが、今でも在れば問い合わせてみるのも手かも知れません。
投稿: 壱源 | 2012年5月19日 (土) 21時31分
「パナソニック BeansHouse B-BH062 改」について
はじめまして、古い話で恐縮ですが、B-BH062を購入されたとうことで、お聞きしたいことがございます。
当方も中古で最近購入したのですが、程度が悪く、修復して乗りたいと思っております。 そこでご相談ですがノーマルのチェーンガードとクランクをお持ちでしたら譲って戴けないでしょうか?
ご検討宜しくお願い致します。
PS:
私もバイクは2stが大好きです。ガンマの500はいいですね!どなたかエンジンのスペアとか持ってませんか? 実はこれも車体だけ(もちろん500の)、友人から譲ってもらいました。 エンジンがあれば完成(キャブは持ってます)なんですが...
投稿: COOL | 2012年5月19日 (土) 20時36分