フレームのおさらい
タキザワのHARP CM-1000の乗り心地の感想。
それは、路面からの振動、突き上げは小さくなって乗り心地が良くなった事と、大きなトルクでペダリングを行った際のキシミ音が小さくなり、ブレーキシューとリムの接触等も無くなった。停車状態でクランクを踏んだ時のハンガーの歪みが明らかに減った。
つまり、衝撃、小さな振動は感じなくなり、大きな力で変形しなくなったということ。因みに、フォーク、フレームの重量は2.5kgクラス。軽くは無い。ラングスターのアルミで2kgチョイで300~500gの差。
因みに、このCM-1000のフレームは前三角パイプは極太パイプを使っており、通常のクロモリホリゾンタルの1.7倍程度の径でラングスターのフレームと殆ど同じである。逆に、チェーンステー、シートステー自体は、ラングスターよりもかなり細く、通常のクロモリホリゾンタル並なのである。ラングスターのチェーンステー、シートステーは1.8~2倍と相当に太い。
ところで、アルミと鉄(クロモリ含む)の比重の差は約3倍の差である。縦弾性係数も3倍である。鉄はアルミの三倍の弾性係数と密度を持っているのだ。
因みに、剛性=縦弾性係数×断面二次モーメントだから、、、同じ剛性を確保するには、1/3の弾性係数なら断面二次モーメントを三倍にすればよいのだ。パイプなら断面を鉄の3倍の断面積にすれば良い。つまり、直径は√3倍≒1.7倍にすれば良いということ。
ということは、、、、ラングスターのフレームの剛性はどうよ?って考えると、
まずは、前三角の部分については、ザックリ行って、クロモリホリゾンタルと殆ど同じ、、、、そして、極太パイプを使ったCM-1000は?というと、ラングスターに較べると、パイプの縦弾性率が3倍、断面二次モーメントが同じということで、CM-1000の前三角の剛性はラングスターやクロモリホリゾンタルの三倍程度の剛性を持つということ。
そして、後三角は?っていうと、アルミのラングスターが縦弾性係数が小さいとはいっても、直径、肉厚から考えると、かなり高い剛性を持っているということ。但し、後三角を左右方向に支える力は単純にシートパイプとステー類の溶接部であり、構造的には片方支持の梁のようなモノだし、、、
なお、自転車フレームに作用する力は二通りだけど、ペダリング行為から生まれる内力はBBを左右に捻る方向の力で前三角の剛性が大きく影響する。更に、後三角の形態を考えると、縦方向の話。ラングスターは真上から見てチェーンステー、シートステーを左右挟むような方向で力を加えると、見た目で判る
程に変形するが、これは、ペダリングによってハンガーが捻れるような負荷を受ける際に作用するチェーンテンションによって、後輪アクスル軸がハンガー同様に
捻れる力を受け続けた結果、疲労によって軽負荷で変形するような強度迄低下したということだろう。
このようにペダリングによる内力は、前三角のBB支持剛性、後三角の横方向の剛性によって支えられている。
走行時に路面から受ける外力は、前はフォークから、後はチェーンステー、シートステーから受ける縦方向の力だけど、フォーク、後三角の縦方向の剛性が大きく影響する。
振動という面から考えると、アルミと鉄では固有減衰能を比較するとアルミの方が優れる。チタンを含めると、チタン>アルミ>鉄の順。アルミの方が振動を減衰する能力が高く、フレームとしても厚肉、大径で変形させない前提の構造が、その減衰能を更に助長して高めている。鉄の場合は、減衰能が低いけど、変形させても問題の無い材料故に、弾性限界の範囲内なら振動させる事自体、問題は無い。
振動の吸収の仕方の差が、乗り心地に材質の違いを伺わせる挙動差が生まれるのだろう。アルミの方がカチッとしているとか、堅いという表現は、受けた振動の受け止め方の違いの感じ方によるモノだろう。
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コメント
そうなんですね!
アルミの方が振動を吸収しやすいんですね、、、でも、受けた振動が一気に消えるが故の違和感もあるんだと思います。振動を吸収して減衰する時間というのが乗り心地に利いているのかもしれません。
ダンパーが利いた乗り心地っていうのはカチッと感じます。ダンパーの利かない乗り心地を寧ろ快適と感じたりする人も居ます。
奥が深いものです。
投稿: 壱源 | 2012年7月 6日 (金) 21時55分
素材ではアルミの方が振動吸収が優れている面があるんですね。意外でした。色んな要素が複雑で少し頭が混乱していますがためになる話でした。
投稿: なぽりん | 2012年7月 6日 (金) 20時22分