赤字受注、低価格受注
業界によっては、こういう例が見られるのは少なくない。携帯電話端末で新規契約時は端末代金ゼロ円とか、通信端末1円だけど通信契約が○○ヶ月必要とか、建築業界においての原価割れ受注とか、様々である。
このような事例は、ダンピング(不法廉売)に該当しないのだろうか?
Wikiによると、
・正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給する行為
・その他不当に商品又は役務を低い対価で供給する行為
であって、
・他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
不当に安い価格で商品を販売することは、その時点では消費者に利益があるように見える。しかし長期的視野で考慮した場合、結果として資本力の強い者が弱い者の事業活動を困難にし、市場の健全な競争を阻害し、最終的には消費者の利益を害する可能性が高い。そのため独占禁止法ではこれを禁止し、公正取引委員会による是正措置の対象にしている。
つまり、ダンピングとされるのは、正当な理由がないのに、供給に要する費用を著しく下回る対価で、継続して販売し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合です。この3条件が揃うと、不公正な取引方法に該当し、独占禁止法に違反することになります。
ただし、3つの条件が揃った場合でも、正当な理由がある場合には、不当廉売に該当しないとされている。因みに、正当な理由がある場合とは次の通り。
①商品価値が落ちたので原価以下で販売する場合
②需給関係が悪化したので、原価以下で販売する場合
③在庫品を原価以下で見切り販売する場合
④新規参入時に原価以下で販売する場合
ダンピングに該当するのは、他の工事業者を市場から排除する目的で原価以下の受注を継続するような場合。この場合、他の部門から資金を補給してまで赤字受注を設ける理由は、これによって、他の工事業者の事業活動を困難にさせ、これを市場から排除し、成功した暁には公示価格を上げて最大の利益を得ようとするためと推認できます。このような安値受注はダンピングに該当し得るものとの判断となる。
色んな考え方があるだろうが、携帯端末ゼロ円、モバイルパソコン100円といった販売というのは、それを商品として考えれば不当廉売と考えられないこともないが、通信契約を結ぶ際のサービス品、景品として携帯端末、モバイルパソコンを提供するというのならセーフなのだろうか?
そういった回線契約という必要経費が発生する契約を明示化しているなら兎も角、そうでない場合に、製品を赤字受注、安値受注で販売して、赤字を、製品納品後に発生する補修部品販売、修理工事費用、保守費用で回収するというのは、不当廉売の考え方から判断して、白とも黒とも言い難いビジネスモデルに見える。激安受注で市場を抑え、競合他社の参入を防ぐ、後の保守費用で回収する、、、、少なくとも、市場が独占されることで、その市場分野の製品技術の革新は阻害されるし、そういう意味では消費者の利益を害しているのは間違いない。
このところ、組織に属して感じる違和感というのは、製造業でありながら技術革新を求めない考え方だとか、技術開発、独創性に対する優先度の低さに対して、収益形態から見えるビジネスモデルが前述のような傾向を感じざるを得ないためかもしれない。
やはり、製造業であるならば、製造製品を支える技術というのは、時代と共に進化すべきだし、その進化した技術の対価を利益として昇華できるような、健全なビジネスモデルに則って活動するというのが本来の姿のような気がしてならない。
正直、現在開発中の無注水軸受システムを勤務先の製品に採用する事への躊躇の理由は、これ。
システムとしては個人的には世界最強レベルと思うけど、製品価格には一切反映されないというか、、、、それって、どうなん?って印象なのだ。
これを他社で採用する場合は、相応の価格で納品されているだけに、このギャップは著しいモノがある。
寧ろ、このシステムを周辺で実績を挙げて、外部から高値で購入させて製品に展開させるという方が、道理にあっているような気がして為らないのである。
苦労して作っても、製品価格で利益上昇圧力として作用出来ないなら、やる意味無いという印象が拭いきれない。
自分的には、現在、協力会社であるM社さん経由で、採用頂いている他社さんの方が、技術に対する対価が存在しているという点で納得出来るのである。
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