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2015年1月19日 (月)

次世代スカイアクティブHCCIの番組感想

NHKでマツダの人見さんのチームの取り組みが紹介されていた。
誰もやらない方法で、新しいモノを生み出す。素晴らしい考え方だ。

NHKの番組では、画面の所々にはボカシ、モザイクが掛かった映像で、正に技術開発の現場!という感じを受けたもの。

別ブログでも感想を掲載したけど、この取り組みで個人的な感想は、マツダの狙うHCCIというのは、予混合圧縮自己着火ということで、これが従来の技術では難しく、これを如何に実現するか?を取り組まれているようだが、この取り組みは、緻密な制御も大切だが、それ以上にもっとシンプルな原理的な対策こそが有効では?というもの。

そもそも、圧縮による自己着火というのは、普通のエンジンでいえば、アホみたいに圧縮を上げたら起こりやすいノッキングみたいなものだろう。
ノッキングというと、自身は以前CB125JXを175化した時にも経験したけど、圧縮比を高めるとノッキングしやすくなるのだが、ノッキングとは基本は爆発であり、これが制御できれば良いという理屈でもある。
そもそも、ノッキングを起こさせないように、普通のエンジンでは進角を遅らせて、オクタン価を高めてプラグ点火させているのだけど、圧縮を高めて、オクタン価が低ければノッキングしまくるのだろう。従来のノッキングというのは、制御していないから煩雑に発生するという理屈だが、煩雑に発生するというのが一種の帰結的現象とも捉える事が出来るのも考え方だ。

ノッキングとは言え、圧縮、昇温、爆発の現象であり、これが全域で同時に起これば良いわけであり、その煩雑さというのは、燃焼環境の不均一さが原因というのは道理だろう。逆に言えば、非等方性の容積変化が繰り返される燃焼室において燃焼が全域で発生するような燃焼環境の均一化を図る事ができれば、ノッキングを同時に、或いは、制御して順序立てて生じさせる事が可能なのも理屈である。

従来のエンジンでは、プラグ着火であり、燃焼室無いの混合機流れを持った環境において、火炎の伝播が速やかに全域に起こるような燃焼室形状が定義されたものだろう。まぁ、現実には、そんな解析が進む以前から現在に至るまで、燃焼室形状の決定には、燃焼環境を均一化するというパラメータは入っていないかもしれないが、そういう視点で燃焼室形状を再定義する事は、恐らく可能だろう。そして、燃焼室形状の再定義において最大の自由度は、何と言ってもピストンヘッド形状に尽きるだろう。

ポート噴射の燃料の混ざった混合気を吸引するエンジンとは異なり、シリンダーに直接燃料を噴射する直噴エンジンでは、噴射するタイミング、速度、時間、噴射する燃焼室の形状によって燃料の拡散は大きく影響を受ける筈だが、NHKの番組での一部では、ピストンがやや下がった状態の写真で燃焼不良エリアが物理的に固定された位置に存在する様子が示されていた。燃焼室の断面写真の左右対称で上下方向に高さを持った位置というのは、恐らく、そういう燃焼不良エリアはピストン上の環状、或いは、筒状のエリアという事を示しており、そのポア領域の形状が筒状であるならば、その問題は、移動軌跡が環状とったモノの影響であることは、ほぼ間違いの無い事だろう。つまり、この密度ポアな領域の根元的な原因は、ピストン移動によるもの。そして、ポア領域が上下方向に幅を持つということは、ピストの下降によって生まれたエリアと言う事。ならば、ピストンの降下に伴う運動方向と反対側の形状、つまりピストントップの形状を見直すことで、混合気の不均一性は解消出来そうとも考えられる。

つまり、当該部位に混合気が充填されるように当該部位のピストントップ形状を変えてやれば、恐らく、その密度ポアとなった領域は変化させる事が出来そうとも考えられるのだ。

まぁ、想像だが、こういう想像をしながら開発の現場を眺めるのは楽しいモノである。

そして、こういう新しい知見というのは、案外シンプルな工夫によって生まれたりする、、、そういうもののような気がする。

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