インジェクションとキャブ
今時の単車、殆どインジェクションである。インジェクションのメリットは数多いが、特に、全域で燃料調整が制御出来るので、必要最小限迄薄く出来るのがメリット。それ故に、燃費も良くなるし、排ガスもクリーンになる。
昔は、電波障害等を受ける事もあった(Z750GP等)ようだが、過去の話。
四輪では当たり前の直噴エンジンなどは、インジェクションでなければ成立しないし、今は、時代の要請から考えると、不可欠な技術と言っても過言ではない。
インジェクションも最近のモデルは、インジェクターを複数装備したりして回転域に応じて使い分ける工夫も進んでおり、全域で狙った空燃比の燃料供給が行えるようになっており、進化は留まるところを知らないようだ。
しかし、個人的には、未だにキャブレターの方が好み。
理由は、なによりも自然だから。自然、ナチュラルが一番である。キャブでの燃調は、ジェット、ニードル類の調整で行うが、運転条件が変わっても機械的な変更は利かないために、インジェクション程理想の燃料供給が行えないと言われたりしているが、それでもキャブの方が道理に合っていると思う。
キャブは現象的な負荷応答デバイスであり、瞬間における空気流れに応じた気化が連続的に行われている。特に、キャブレター=気化器であり、負圧に応じて気化噴出するのがキャブレター。気化器と言われる所以は、噴射燃料の液滴サイズである。これは10ミクロンアンダーであり非常に微細な燃料がポート内空気に混合されるのがキャブレターである。
インジェクションは加圧噴出器であり、液滴サイズはノズル系と噴射圧によって決まるが、緻密なモノで液滴サイズは80ミクロン、通常市販車では100ミクロン台だったりする。
インジェクション車では、この問題を解決するために高圧噴射を採用したり、噴射ノズル前面にミキシングプレートを設けたり、或いは、補助用のマイクロインジェクターを設けたりしている。
この液滴サイズの差、小さくないのだ。10ミクロンの液滴と100ミクロンの液滴、直径が10倍ということは、容積で1000倍である。インジェクションの1滴は、キャブの1000滴に相当するわけだ。この差は小さくない。当然、液滴が微細な程、燃焼は素早い。これがレスポンスの良さ、ドンツキの無さに大きく影響する。過途特性については、キャブレターの方が扱いやすい理由の一つだ。勿論、現行のインジェクションだって何の不平も問題も無いけど、原理的にエンジンが欲する量を自然の法則に従って吸引するという機構が実にスマート。モノとして自然の摂理を上手く利用する方が格好いい。ということで、個人的には、キャブレターの方が好み。
特に、スポーツバイクでは絶対出力よりも過途特性の自然さが重要であり、スポーツバイクを買うなら過途域重視。すると出来ればキャブ車が理想。
現時点での次期愛車候補は、CBR900RR(SC28、SC33後期)、VTR1000Fだけど、何れもキャブ車だ。
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