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2015年5月19日 (火)

NC750X/S

ホンダのNC700から発展したNC750シリーズ、これ、今一番気になるシリーズだ。エンジン型式は、相当に前傾したパラツイン。このパラツイン、普通の単車用エンジンとは全く異なるエンジン。単車用エンジンというよりも、四輪乗用車用エンジンに近い。
パラツインとしては今や主流とも言える270°位相クランクを採用してある。

位相クランクというと大馬力によるトラクション喪失を防ぐように、不等間隔爆発を実現!というのが、TRXの頃の宣伝文句であり、多くのユーザーが、そういう認識を持っているだろうが、このNCでは意味合いが全く異なるようだ。
不等間隔爆発による鼓動感を最大限演出するような仕様。鼓動感の演出には、当然、ロングストローク型が望ましいが、ヤマハのパラツイン等に比較すると全く異なるロングストローク型のエンジン。ヘッドもSOHC4バルブヘッドで、同弁系パーツにもアルミパーツを多用し頭が重くならないように配慮されている。この前傾SOHCというのは、ヤマハのジェネシスコンセプトのエンジンとは真逆のコンセプトで兎に角、低重心マウントを目指しているようだ。前傾故にエンジン上部に配置される吸気系も二気筒で共有させ極力コンパクト化しているし、排気系までも二気筒共有で軽自動車の如く排気は一本である。排気がコンパクトとなれば、当然エンジンマウントも目一杯下げられるのだ。
270°クランクで吸気共有となれば、気筒間吸気雰囲気が揃う360°クランクとは異なるが、その気筒間の雰囲気の違いを補正して燃焼雰囲気を揃えるためと思われる気筒間でバルブタイミングがずらしてあるのも興味深い構造。兎に角、出力を狙うのであれば、有り得ない選択だろうが、不等間隔爆発によるトルク変動を効果的に生み出すには、有効な手段のように思える。エンジンの低重心化に加え、振動を演出するというのは心憎いもの。

このNCのエンジンは、車体に積んだ時、重量物が極力低い所に配置できる構造なのだ。重心を下げるというのは、絶対重量を小さく作る事以上に、難しく、操縦性に影響が大きい。

スペックだけ見ると平凡なものだが、このモデルの生まれる目的は、他のモデルとは全く異なるもの。エンジンレイアウトからMT-07がライバル視されているが、コンセプト的に全く異なるモノ。少なくともスタンダードバイクとして考えると、MT-07は外見こそ派手で新しそうだが、昔ながらのコンセプトで、或る意味旧世代だろう。それに較べると、NCシリーズは、外観こそオーソドックスで、見方によれば古くさいと思う人も居るかも知れないが、実際は多くの人の理解を超えた存在のように見える。

普通のユーザーが付き合って長い目で幸せになれるのは、、、、NC系のような気がする。

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