バックトルク
国産車で初めてバックトルクリミッターが装備されたのは、VF750Fだった筈。1982年(昭和57年)頃だ。400ccクラスではVFR400R(NC30)の頃では無かっただろうか?何れも、クランクマスが小さいビッグボアの4ストロークエンジンである。
バックトルクによる影響が顕著なのは、ハイコンプレッション、ビッグボア、小さなクランクマスという要素。これらの要素でバックトルクの影響が出やすいのは、小さな気筒数のエンジンか、V型エンジン車である。逆に、高回転型のマルチエンジンでの採用は後の事となっている。
そんなバックトルク、アクセルを閉めただけで前につんのめるような減速力を発揮。下手すれば、アクセルオフでリアタイヤがロックしてしまう程。コーナーアプローチではアクセルオフでリアがロックして蛇行する事もある。攻めるような走りでシフトダウンを併用すれば、その影響は更に顕著で、急な減速が結構苦手となるのだ。
これは、攻めた走りをする際には素早い減速を行う上で大きな障害となる。コーナーのアプローチで2ストロークが奥迄突っ込めるのは、この辺りの弊害が殆ど無いからだ。2ストロークの乗りやすさ、攻めやすさは、このクソみたいなエンブレとは無縁だからだ。
それ故に、グリップレベルの低い状況で、この手のエンジンで攻める時はアプローチは相当に慎重に行う必要がある。
しかし、VF750F以降、大排気量車にはバックトルクリミッターが徐々に普及し、その問題は徐々に取り上げられなくなった。但し、MotoGP発足当初では、バックトルクリミッターの熟成が進んでいなかったせいか、その出来がレースリザルトに大きな影響を及ぼしていたし、GP500混走状態で、コーナーのアプローチで2ストロークが4ストロークを刺す光景が見られたのは、そういう影響が多かったものだ。
今時は、市販車で下手すれば250ccクラスからバックトルクリミッターが装備されており、バックトルクリミッターの恩恵がどう?って意識しているライダーはかなり減っているように思われる。
しかし、個人的には、二輪は操るモノ的な意識があるので、強烈なバックトルクを想定して慎重な操作で扱う楽しさの方が、単純な速さよりも大事のように思う。ウエット路面でリアのブレイクを抑えるいように、ブリッピングの程度、クラッチミートの程度を勘案しながら扱いコーナーを走る、、、、こういう楽しさは捨てがたいのだ。今は、大馬力車ではトラクションコントロールが装備されているけど、自分の出来る範囲で、馬力と向き合って車体を制御しつつ扱うほうが操っている感がある。ブレーキも近い将来全車ABS付きとなるそうだが、ブレーキ操作もやはり自身の判断で行える、、、そういう方が楽しい。
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