キャリパーサポートはどう?
単車のブレーキシステムの強化、ポピュラーなのがブレーキホースのステンレスメッシュホース化だ。これはホースの膨張量を抑える事で、マスターシリンダーからの圧力を無駄なくブレーキピストンのストロークに変換させてブレーキタッチを向上させるのに有効。他に有効なのは、ブレーキパッドの変更等も効果的。ブレーキピストンのサイズとマスターシリンダーのサイズの相対度によってもレバーストロークと力の関係も変化する。
他には、マスターシリンダーの交換、ブレーキキャリパーの交換といった方法もある。ただ、マスターシリンダーの交換ではシリンダー径が不変の場合、シリンダー自体の交換は制動能力向上の効果を感じにくい。ブレーキキャリパーの交換も見た目のインパクトの大きなカスタムだが、この場合は実質的に制動能力が向上しているかどうか?というと懐疑的になったりする。
ブレーキキャリパーの交換を行う場合、キャリパーは元のフロントフォークに無改造で装着出来る事は稀であり、フロントフォークの交換を行わない場合は、キャリパーサポートを使う場合が多い。因みに、ブレーキキャリパーの交換の最大の目的、キャリパーピストンに対するマスターシリンダーのレバー比が不変の場合は、キャリパーの剛性向上によるブレーキタッチの向上というのが最大の目的だが、果たして、一般的な方法がキャリパー剛性の恩恵を受ける事があるか?というと、少々懐疑的に為らざるを得ない。
昨今流行りのブレーキキャリパーのマウント形状はラジアルマウントという方法だ。これは、キャリパーが制動時に受ける大きな力によっても歪ませないための構造。通常のマウントではキャリパーの保持剛性が取り付けボルトのせん断限界に左右されるが、これを改善しているのである。しかし、キャリパーサポートを用い、複数のボルトでキャリパーを固定する場合、ボルトの数量分の剛性低下を招くのである。キャリパーを高性能にしても、キャリパーを支える部分の剛性が半分以下となるのが実状である。
制動性を高めるには、制動力を発生する部位(パッドとローターの接点)とキャリパー保持部を近付けて、制動時に発生する力を材料のせん断側、引っ張り側ではなく圧縮側で受けるのがベストである。キャリパーサポートを用いると、力点と支点の距離が長くなり、キャリパーの保持を二箇所(フォークとサポートの取り付け部+サポートとキャリパーの取り付け部)の材料のせん断側で受けるという形態となる。本来、キャリパー変更による能力改善は大きな制動力が生じた時に効果が現れるものだが、サポートを用いる時点で、キャリパーを支える部分の能力低下を補う程の効果があるかどうか?というと、かなり怪しいと言わざるを得ない。
キャリパーを交換するのであれば、サポートレスで交換できるようなフォークの変更をセットで考えるのが本来の姿だろう。そうしなければ、キャリパー交換によるメリットを享受するのは難しいように思う。流用改を企てるのであれば、同系のモデル、同系のキャリパーながら、車両重量の大きなモデルに用いられているパーツを流用するという方法が最も効果的では無いだろうか?
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