ハイメカ化
最近の単車のデバイスの進化は目覚ましい。前記事にも取り上げた各種の電子制御デバイスの普及は、90年代以前では考えられなかったモノばかりだ。
特に、TCS、SCS、ABS、ローンチコントロール、リフティングコントロール等々の車体の安定を失わせないための、出力、制動力の制限は、或る意味素晴らしいモノと言える。
更に驚きなのは、カワサキH2の登場で俄然注目を浴びつつある過給器システムを搭載したモデルだ。
過給器搭載の国産車といえば、1980年代のホンダCX500/650ターボ、ヤマハXJ650ターボ、スズキXN85、カワサキ750ターボといったモデルを思い出すが、何れもミドルクラスのモデルを過給してリッタークラスの出力を与えるというモノで、当時としては軽量ハイパワーを誇ったモノばかりである。多くのモデルが過給器に加え電子制御燃料噴射装置を備え(XJ650Tはキャブターボ)ており、高度で複雑で手に負えないシステムという印象が強いモデルだったように思う。
実際、これらのモデルは一代限りで廃盤となっており定着しなかったが、それは単車に求めるハイパワー車像というものにマッチしなかったのか、或いは、複雑すぎるシステムが敬遠されたのか、出力特性が洗練されていなかったのか、、、は判らないが、何れにせよ定着しなかったのは事実だ。
それから30年を経て、カワサキH2が登場し、他メーカーからも追随するモデルの登場が噂されている。H2を例に挙げると、現代の過給器モデルは凄まじいパワーと洗練された制御を身に付けており、現状は市場に好意的に受け入れられているようだ。これから登場するであろうモデルは、噂によるとミドルツインに過給器を装備したモデル、或いは、現代のメガツアラーをダウンサイジングして過給器によって性能を高めようとするモデルがあるようだが、これらが登場したとして、果たして市場に受け入れられるか?が興味深い。
ミドルツイン+過給器が、同じ程度のパッケージとなるミドルクラスのマルチエンジン車等に対してアドバンテージが得られるか?次第だろうし、メガツアラークラスのモデルに過給機を加えたパワー特性と信頼性が好まれるか?次第だろう。四輪に比較して過給器系という補機自体が複雑で、そこそこのボリュームと重量を占有するシステムを採用する場合、それを装備することで得られる、パワーと重量のバランスは、既存のメカニズムである気筒レイアウト、多気筒化といった手法でも容易に実現出来る場合も少なく無く、その場合、過給器によるメリットがユーザーに受け入れられるかどうかが問題となりそうだ。
個人的には、過給器モデルが従来モデルとの置き換えで登場したとしても根付かないような気がする。過給器モデルが根付くには、過給器モデルならではのカテゴリーを生み出して存在するというのが必要だろう。カワサキのH2の好評は、そう言うキャラクター付けが成功したためのように見える。
個人的には、単車のような耐候性の高くないモノは、極力シンプルに構成し信頼性の高いパッケージの方が好みである。
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