回想1982年
1982年、この年は日本二輪車史上で最高の年となったといってもよい。HY戦争の激化にホンダが反転構成に打って出た年。前年に300万台を越えた登録台数は更に増加して、3,285,327台と空前絶後の販売台数を記録することになる。まぁ、この販売台数の大幅な増加は、実際はスクーターの乱売合戦の結果ではあるが、これによって販売店の体力が一気に消耗したのも事実だ。
この年の自動二輪のベストテンは、
1.ホンダCBX400F 31,533台
2.カワサキZ400GP 12,112台
3.ヤマハXJ400 12,001台
4.スズキGSX750S 7,531台
5.スズキGSX400F 6,772台
6.CB750F 6,598台
7.GSX400FS 4,798台
8.ホンダVF750C 4,404台
9.ヤマハXZ400 4,391台
10.ヤマハRZ350 4,345台
この年の注目は、何と言ってもCBX400Fだろう。ホンダファンの期待を背負って登場したマルチのCBXである。前後インボードディスク、DOHC16バルブエンジン、クロス配置のエキパイ、ジュラ鍛部品を配置した高級感ある仕上がり。そしてクラス最強の48PSのエンジン、全ての面でライバルを十分研究して登場し、クラス最強の動力性能を引っ提げて登場である。二位以降とは比較にならないブッ千切りの売れ行きである。なお、ツートンカラーが485,000円、モノトーン赤が470,000円で登場。400ccクラスの高額化にも驚かされた一台だ。400ccマルチは48PS、、、これが売れ行きを左右することになる。
そこで、登場したのがZ400FXのモデルチェンジでZ400GPだ。これはユニトラック式サスペンション+48PSエンジンで高い人気を誇ったモデルだが、CBX人気には敵わなかった。しかし、デビュー年度の鈴鹿四耐では見事優勝を飾ったのも記憶に鮮明に残っている。スズキからは今一不完全燃焼に終わったGSX400Fのマイナーチェンジ版としてGSX400FSインパルスを登場させている。48PS化したエンジンは1ccの排気量アップにヨシムラと共同開発したというサイクロン集合マフラー、そして角形スイングアーム、リザーブ別体のリアショック、ジュラ鍛ハンドル、シングル風シートにクラス最軽量の171kgで登場するも、完全新設計のCBX、Z-GPには後塵を拝すこととなる。
興味深いのは水冷70°VツインDOHC4バルブ+シャフト駆動で和製ドカティとも言われたハイメカニズムのXZ400の登場だが、如何せん重量級で走りは大人しく、このクラスでも250ccクラス同様のスポーツ性が最も重要と言う事が決定付けられたのである。
なお、ナナハンクラスでは、CB750Fに変わってハンス・ムートデザインのGSX750Sが登場した事。オリジナルとは、スクリーンレス、スポイラーレス、そして大アップハンドルという点で異なるが、それでも登場のインパクトは大きく、購入後にハンドルをセパハン化するのが流行した。ただ、当時は改造に対する取り締まりが厳しく、改造ハンドルを取り締まる、通称『刀狩り』と言われており、刀ライダーには恐れられていた。
軽二輪クラスのベストテンは、
1.ホンダVT250F 30,957台
2.ヤマハRZ250 17,605台
3.ホンダXL250R 17,160台
4.スズキGSX250T 14,260台
5.ホンダCB250T 7,279台
6.ヤマハXS250(新) 7,202台
7.ホンダCB250RS/Z 6,693台
8.スズキGSX250E2 4,761台
9.ヤマハXT250 2,355台
10.ヤマハXS250 2,319台
となっている。ホンダが打倒RZを4ストロークで果たすと言う事で、登場させたのが、名車VT250Fである。DOHC8バルブの水冷Vツインエンジン、4ストロークながらRZと同じクラス最強の35PSを発揮。メーターバイザーと呼ばれるビキニカウルを装備、フロント16インチホイールによる優れた操縦性、フロントはCBXと同じインボードディスク、、、、革新の塊であり、RZを圧倒的に上回る販売台数を記録したのである。
他には、エンデューロブームの立て役者であるXL250Sがライバルの登場に併せてプロリンク採用のXL250Rに進化し人気を不動のモノとしている。
興味深いのは、動力性能重視と思われた250ccクラスだけど、維持費の安さが再注目であり大人しいモデル、スケールダウンモデルも堅実に売れている事が見て取れる。実はそういう客層からもVTが注目されているのは後に判る事となる。このクラス、スポーツ性能+実用性がキーワードとなるのである。
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