回想1984年
1984年、この年はスポーツバイク=レプリカバイクということで、商品ラインナップを見てもレプリカブームが到来した事が良く判る、象徴的な年である。
自動二輪クラスのベストテンは、
1.ホンダCBR400F 24,726台
2.スズキGSX-R 13,223台
3.カワサキGPZ400F 11,641台
4.ヤマハFZ400R 11,380台
5.ホンダCBX400F 4,581台
6.ヤマハXJ400ZS/E 4,365台
7.ヤマハSR400 4,288台
8.ホンダVF400F 4,228台
9.カワサキGPZ750R 3,770台
10.ホンダCB750F 3,077台
となっている。人気の主流は完全に400ccクラスある。筆頭はCBXにREVというバルブ休止機構を備えたCBR400Fだが、峠、サーキットシーンでの人気はスズキのGSX-Rだろう。超軽量の152kgにクラス最強の59PSを発揮する水冷DOHC16バルブ4気筒エンジンに、耐久レーサー然としたデュアルヘッドライトのフルカウル。デザインも前年登場のRG250ガンマ以上に洗練されたモノ。当時の記憶では、唯一の4.0kg・mトルクで軽量な車体と相まって戦闘力は最強である。
これに対する対抗馬は、ヤマハのFZ400Rだが、こちらはスチールフレームながら十分軽量な165kg、角形ワイドループのスチールフレームにXJ400Zのエンジンを59PS化して搭載。GSX-R以上にレーシーな佇まいとリーズナブルな価格で人気を博したモデルだ。サーキットシーンではCBRよりもGSX-R、FZ400Rが人気の中心である。
ナナハンクラスでは忍者900のスケールダウンモデルであるGPZ750Rが人気を詰めていた。ダイヤモンドフレームに水冷DOHC16バルブエンジンにフルカウルが好評を博していたが、一方でFC型迄進化したCB750Fも根強い人気を保っている。
軽二輪クラスのベストテンは、
1.ホンダVT250F 36,186台
2.ヤマハRZ250R 18,908台
3.ホンダGB/CBX-RS 14,099台
4.スズキRG250ガンマ 11,250台
5.ホンダNS250R/F 9.712台
6.ホンダTLR200 6,995台
7.ヤマハDT200R 6,846台
8.スズキGS250FW 6,837台
9.カワサキKR250 6,473台
10.ヤマハSRX250/F 6,102台
である。この年もホンダのVTは不動の人気である。この年、FZ型からFE型にM/Cし角パイプフレーム、ハーフカウルを装備して40PS化して更なる実用性と性能の向上を果たしている。注目なのはRZ250Rであり、スチールフレームに前後18インチと走行性能的には、他のレプリカよりも大人しいモノの、人気は先行しているのが興味深い。
前年からRG250ガンマ、MVXといったライバル車よりも売れ行きは好調だが、その理由は、軽二輪を求める客層、二十歳前後の若年層に取ってリーズナブルな価格体系というのが非常に大きな要素である。更に、外見的には一見大人しいけど、レーサーとの直結度から言えば、市販レーサーTZと極めて近い関係であり、カスタムパーツを始め、ユーザーのカスタマイズ嗜好を多く叶えるという面も見逃せない。
実際、自身も、この時代にRZを愛車としており、素人が峠やサーキットで遊ぶ分には、ガンマ等々に大きく見劣りすると言う事は、実際のところは無かったのである。
そういう判断が、売れ行きに表れているといっても良いだろう。
ただ、登場するニューモデルの必要条件は登場する毎にクラス最強が必須であり、ガンマ以降に登場してきたKR250、NS250は、登場段階では間違いなくクラス最強のパフォーマンスを誇っていたのである。ただ、特異すぎるメカニズム、高価すぎる価格というのは必ずしもメーカーの思惑通りに受け入れられるモノでもないのである。ロータリーバルブタンデムツインのKRも装備的にはワークス同等だけど、実際の形や機構は全く異なっており、それがユーザーの嗜好に受け入れられず人気は盛り上がらなかった。このよに、実際に売れるかどうか?というのは、その値付け、さらに、カスタムのし易さというのが大きく影響しており、その部分を含んで言えばRZ250Rが2ストのベストセラーだと言って良いだろう。
それ以外のエンデューロ系では、ジャンルのベストセラーに対して対抗馬が登場するというもので、MTX200Rに対して登場したのがDT200R、CB250RSの後継であるCBX250RS、ライバルで女性ユーザーもターゲットにしたSRX250の登場が目新しい。
なお、全年以降、にわかに注目が高まってきたSR400の人気動向に着目してか、ホンダからGB250というビンテージモデルが登場したのが注目である。
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