回想1987年
さて、レプリカ時代も後半の1987年、後半となるのはレプリカ度がピークに向かいつつ合ったからとも言える。そのピークといえば、レプリカの権化とも言えるRC30の登場だが、この年は、各クラスともレプリカの先鋭化が更に進んだ時代だ。
ただ、二輪の登録台数は更に下がり1,476,706台と最盛期の半分以下迄落ち込んでいる。
750ccクラスのベストテンは、
1.スズキGSX-R750 1,972台
2.ヤマハFZR750 1,875台
3.ホンダCBR750 1,775台
4.ヤマハSRX600 1,756台
5.ヤマハXV750ビラーゴ 829台
6.カワサキGPX750R 785台
7.スズキLS650サベージ 752台
8.ヤマハFZX750 668台
9.ホンダCBX750F 623台
10.スズキVS750 563台
ここにはカウントされていないけど、この年の8月に登場したVFR750Rは発表当時に予約完売で抽選だった。ランキング上では、GSX-R、FZRというナナハンレプリカが上位だが、過去のナナハンクラスの実質的な販売台数から較べれば非常に少なく、ナナハンクラスの人気というのは、既に失われていたように思う。売れるのは、基本は先鋭度の高いレプリカ、ホモロゲモデルというものとなっている。仮にレプリカブームが去れば、売れ行きは壊滅的に激減する、、、そんな危惧が感じられるランキングでもある。
この8月に登場したVFR750Rは、各クラスにおけるレプリカ先鋭の最後の口火を切ったとも言える。
400ccクラスでは、
1.ホンダVFR400RH 12,672台
2.ヤマハFZR400R 11,351台
3.ヤマハSRX400 8,296台
4.カワサキGPZ400R 7,436台
5.スズキGSX-R 5,500台
6.ホンダCBR400R 5,342台
7.ヤマハXV400ビラーゴ 5,151台
8.カワサキGPX400R 4,100台
9.ホンダVFR400RG 2,361台
10.ヤマハFZ400R 2,334台
この年は、遂にGPZ400Rがトップから陥落。変わりにトップに立ったのは片持ちプロアームを装備した後期型のVFR400Rだ。片持ちサスペンションのインパクトは強烈で、トリコロールカラーに加え、限定のロスマンズカラーも大人気となる。ヤマハからは、EXUP+クロスミッションにシングルシートというSPベースモデルのFZR400Rが登場し人気を二分している。モダンシングルのSRXも根強い人気となっている。レプリカの先鋭度ではTZRに続きヤマハのFZR-Rが抜きん出た感があったが、プロアームは更にインパクトが強かったのだろう。当時、走り屋はVFRよりもFZR-Rを支持していたが、市場としては万能性に優れるVFRが上回るのは当然だとも言える。
250ccクラスのランキングは、
1.ヤマハFZR250 28,159台
2.ホンダCBR250R 18,933台
3.ホンダVT250F 15,789台
4.ホンダNSR250R 15,204台
5.カワサキGPX250R 12,000台
6.スズキGSX-R250 10,604台
7.ヤマハTZR250 8,835台
8.ホンダXLR250R 7,799台
9.ヤマハRZ250R 7,173台
10.ヤマハセロー 6,333台
TZRが時代を暗示したように、オシャレなレプリカデザインに熟成のDOHC16バルブ4気筒エンジンが、速さの実用性を両立する一つの解として提案したように、それに気付いたヤマハの登場させたFZR250は時の女性ライダーの支持を一身に集め堂々のベストセラーである。FZR250はレプリカの格好良さを、オシャレな印象に昇華したデザインで多くの支持を集めたのである。ホンダの4気筒モデルは、未だ男臭さがあり、女性ライダーからの支持は差程集まっていなかった。
なお、TZRの切り開いたレプリカの先鋭化がマーケットを制する秘訣ということに気付いたホンダは、NSRを登場させる。NSRはサーキット、峠でTZRをアッという間に駆逐し、一気に制圧した。このクラスを制するには、常に最強というのが絶対条件であり、以後の進化の度合を見れば、レプリカ=NSRという図式は、この年が起点となったと言って良い。
カワサキのGPX250RはGPZ250Rの後継で、地味な印象が強く、オッサンの実用バイク的な需要に支えられていた印象が強い。注目なのはセローの登場で、以後定番化していく。
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