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2016年5月29日 (日)

80年代という祭りの後の90年代二輪市場は、、、

80年代に隆盛を誇ったスポーツバイクブームはレプリカブームで頂点を極める。しかし、1988年に厳格な自主規制の運用が通達され、1989年以降は動力性能的には頭打ち、低下傾向となる。それが恐らくブームの転機となったと思われる。この規制強化の通達の背景は、膨張する市場と過激化するモデルによる交通事故の多発、暴走行為の多発が原因である。厳格な自主規制の運用の通達と並行し、取り締まりの強化、通行禁止エリアの拡大と二輪車が公道から締め出されていく。郊外の峠には、滑り止めの段付き舗装、キャッツアイが埋め込まれ走りづらくなる、、、、これがブーム衰退の転機である。

そして1989年はブーム終焉の時を迎え、次のムーブメントを占うモデルが登場するのである。その筆頭がCB-1が先鞭を付けたネイキッドバイクで、ゼファーの登場でブームを巻き起こすこととなる。ゼファーは46PSと当時の250ccクラス並の性能だが、心地よい高性能、飛ばさなくても快適な特性で瞬く間に支持を集める。

更に、1980年代半ばから注目を集めていたSR・SRXといったシングルスポーツを素材としたカフェレーサーカスタム、1980年代後半、本格的なアメリカンとして登場したスティードを素材とした本格的なアメリカンのカスタムがユーザーに大きな支持を集めるようになる。

大きな出来事は1992年の馬力規制値の引き下げである。1989年以降厳格運用により測定誤差に±10%とされたが、1992年の規制では規制上限値の引き下げに加え誤差を容認しないものとなったのである。1988年での公称出力は、どちらかと言えば、最低保障出力とでも言うモノ。現実に考えれば、例えば国内仕様のRG500ガンマが公称の64PSで実測246km/hもの最高速を叩き出すのは考えてみればおかしな話である。RG400ガンマでも公称通りの59PSだとすれば、実測で228km/hも記録するのも変な話なのだ。88NSR250Rでも、公称45PSであっても実測で200km/hに迫る最高速度を実際に記録しており、その動力性能から推定すると、RG500ガンマは国内仕様であっても90PSに迫る出力は有していただろうし、400クラス最強と言われたRG400ガンマでも80PS程度は発揮していたと想像することも不可能ではない。NSRにしても当時はパワーチェックすると60PS前後を叩き出すという話は良く聞いたし、実際に現場で数字を見たこともあるのだ。

1989モデル以降では、規制の明文化通達で±10%の誤差ということで、レプリカ400は実質で65PS程度、レプリカ250で50PS程度が実質出力だったのだろうが、実際に'88以前のモデルと'89以降のモデルはは、その程度の体感の違いは誰でも感じられたのである。

そして、1992年に強化された規制によって完全に牙を抜かれたレプリカモデルに魅力を見出すことは困難となり、ブームは完全に収束。1995年以降、軽二輪+小型二輪の登録台数は一度も年間10万台を越える事は無くなったのである。

1996年以降は限定解除制度の廃止と、大型自動二輪が教習所取得可能となり内外の大型二輪が実質解禁となったけど、これが市場を活性化したようには見えないのには、大きな理由がある。それは、80年代ブームを支えた当時の20代は、90年代では30代、40代となり日常生活において就職、結婚、育児、、、、と多忙となっており単車どころではないのが大きな理由だろう。暗黒の90年代、それはオートバイブームを支えた世代が、ブームを卒業し社会生活の多忙さに追われ始めたのが最大の理由。そして、その後の世代がオートバイの世界に入ってこなかったのがジリ貧の理由なのだ。

1990年代といえば、カフェカスタム、アメリカンカスタム、TWブーム、ビクスクブームといった小さなブームで、オートバイの走行性能に惹かれて楽しむというものではなく、あくまでもファッション小物での一つという捉え方で支えられている。1975年生まれより後の世代、所謂今の20代、30代の価値観は、遊びのアイテムが単車に限らない世代。ゲーム、PC等のデジタル機器、通信機器の普及により遊びのターゲットが広い世代なのである。それ故に、単車の走りの部分に価値観を置くボリュームが小さいのも致し方ないといえる。

オートバイが人気が無いのではなく、趣味やライフスタイルの多様化によって支配率が低下しただけなのだ。にもかかわらず、売れていないと嘆くのは、少し違うのが現実だ。

ただ、2010年代後半以降、1980年代のオートバイブームを支えた世代が、この市場に最後の貢献をするのである。2010年代というと、当時のレプリカ小僧は45歳以上~50代という世代である。そして、2010年以降、重量車の人気によって2014年現在で平均年齢51歳の人間が大型二輪を購入し、この世界に戻ってきているのだ。

戻ってきた理由、それは、或る条件が満たされたからである。この世代の人生の多忙さが一段落したのは、育児が終わり、住宅ローンに目処が付いたからに他ならない。

レプリカブームが終焉したのは、1989年の規制運用開始、1992年の規制強化だが、それは、その時代にレプリカブームを支えた世代が大人になってオートバイを降りたから。オートバイを降りる理由は、規制によって牙が抜かれたモデルに対して、社会に出てまで新しいモデルを買うまでもないか、、、という風に思ったから、、、そう考えるのが最も合点がいく話だ。

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