古さの美点
これが単車選びのポイント。或る意味、車選びでも然り。
ただ、実用性能を維持した中古車を越えて、骨董品的旧車を褒めている訳ではない。
機械として、実用性能を失った骨董品的旧車には、道具としての魅力は感じない。
敢えて言うなら、ここでいう古さは、製造後の経過年数の長さではなく、設計年次の古さという意味合い。ベストは、設計年次が古いにも拘わらず長らく生きながらえてきたモノという意味。
モノとしては新しいモノを求めるが、設計思想としえは古いモノを求めるという、一見矛盾したような嗜好なのである。
大昔に設計されて長きに渡り生き残っているモノというのは、長く使っても時代に対応できるという基本設計の懐の深さであったり、モノとしての堅牢さであったり、そういう部分があるからに他ならない。そして、基本的に優れた設計である場合が多い。
古いモノ、得てして軽くない。そして、何よりも余裕がある。余裕があるから時代に即した改良や拡大に耐えうる。そういう余裕は、生まれた時には無駄という欠点で評価されるが、その無駄こそが余力や余裕を生みだしているといって良い。
こういう余力、余裕があるのは、やはり効率一辺倒で突き詰められた現代の製品に見つけることは難しく、昔の製品からしか見つける事は出来ない。その上で、長らく生きながらえてきたモノというのがベストだ。
設計思想は古いけど、現代迄生き残っているような、そんなモデル、これが理想だ。
そういうモデルは、比較的長く作られたモノが多い。現代では生き残っていないけど、Z1/Z2、GS、SRX、ゼファー等はそう言う部類だろう。今でも現役というならSRがそうだ。
こういうモデルで高年式なのは、長く付き合う愛車としては悪くない選択肢だと言える。
勿論、特別なマテリアルを使うことなく、極めた設計で軽量コンパクトを実現した現代のモデルも否定しないが、そこから残された自由度という面では、相当に制約を受けており、それが時代を超えて生きながらえるには、多くの制約が掛かるのも事実。
長生きの秘訣は、効率ではなく無駄の生み出す余力、、、これは結構重要なのである。
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