BT1100後期とMT-01
BT1100は、DS11(ドラッグスター1100)のエンジンを用いたVツインネイキッドバイクである。モデルのコンセプトはビッグVツインを用いたロードスターということ。基本構成はドラッグスターそのままで、空冷2バルブSOHCのショートストローク型Vツインエンジンにキャブレターで燃料供給しシャフトで駆動するという構成。出力は吸排気系の変更によりドラッグスターより誤差範囲分向上しているが、それでも出力は65PS、トルクは9.0kg・mに留まる。デビューは2002年で、2005年にはM/Cを受けて2006年迄生産されている。国内市場に流通しているBTは100台程度と言われており、その90%が前期型と言われている。販売年は、前期が3年、後期が2年だけど、流通量は圧倒的に前期となっている。何故に、後期モデルがこれ程迄にも少ないか?というと、、、、
似たコンセプトで更に個性を明確化して、Vツインの持つ鼓動とトルクにフォーカスを当てて、それをスポーツに昇華する路線を打ち出す事で、花を持たせた同系のジャンルのモデルが同じヤマハから搭載したのが最大の理由だろう。
そのモデルは、MT-01である。これもVツインネイキッドバイクでビッグVツインの個性を全面に押し出したモデルだが、BTとは異なりVツインのキャラクターを際立たせ、花を持たせたのが最大の違い。BTとの違いは、花の有無、そして個性の明確化の度合の違いである。そのために、排気量も格段にアップされ、各部の構成、マテリアルも数段アップされている。エンジンはヤマハVツインフラッグシップからの流れを汲むもの。XV1700から引き継がれた1670ccの空冷4バルブOHVのロングストロークVツインエンジンで、ダウンドラフト型インジェクションによって燃料供給を行う。同じVツインでもBTよりもスポーツ志向の度合は高く、排気デバイスであるEXUPを装備、車体も倒立フォーク、駆動もチェーンというモノ。出力は90PS、トルクは15.3kg・mとBTを圧倒的に上回っている。
これが、2004年に発表され、2005年に登場したのである。ただ、MT-01は2009年で生産終了となっており、BTよりは魅力的だったものの、市場にはビッグVツインスポーツを求める声は、実はそれ程大きく無かったのかもしれない。この小さなマーケットにおいえてMT-01の登場はBTを存続させる事を許さない出来事だったとも捉える事が出来る。
タイミング的にBT前期のモデル末期時期に登場している。MT-01の登場後にBTはM/Cを受けて後期型が登場しているが、ビッグVツインの個性を全面に打ち出したMT-01に対してセールスポイントとなる要素は、あまりにも少ない(っていうか無い)のが現実である。
ただ、Vツインの鼓動、デザイン、スポーツ性を先鋭化し過ぎたMT-01よりも、Vツインの、もう一つの個性である穏やかなクルージング特性にマッチした構成、例えば大容量20Lでツーリングに安心の燃料タンク、メンテナンスフリーのシャフト駆動、信頼性の高い非常にコンベンショナルな構成というのは、見直されて然るべき価値のように思える。Vツインでありながらショートストロークエンジンで幅広い範囲で低振動とトルクを取り出す事が出来るというのは、ツアラー適性は非常に高いと言える。ただ、この特徴が注目を浴びてリバイバル、、、という事には、恐らくならないだろう。
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