今回のBT1100では、小さな箇所で元オーナーの無知か、整備時の思慮不足か特定できませんが、気になる点が散見された。
特に気になったのは、ヘッドライト回りの組み付け状態だ。自分的にはアウト、、、、という印象。
そもそも、気付いたのは、夜間走行中にヘッドライト回りから重量物の固定不良状態で悪路を走った時に出るような軋み音(キュッキュッキュッキュッ)が気になったからだ。そして、ヘッドライト裏側から光が漏れる様子を見てからだ。
何故に、軋み音が出る?、、、何故に、漏光する?ということ。人に話せば、イタリア製だから、、なんて言われかねないけど、少なくとも50年前の国産車でも有り得ない症状である。イタリア製といっても日本資本が入り、21世紀の工業製品である。そんな筈は無いのである。
で、解体しようと試みると、、、基本、簡単には、解体出来ません。チョット、笑いました。
普通、ヘッドライトバルブ、ウインカーの交換等は軽整備の範囲なので、簡単に出来ないと嘘です。
にも関わらず、、、納車状態では、手出しが出来ません。で、組み付け方に対する疑念が持ち上がりました。当然でしょう。
で、外観からチェックして構造を理解していくと、本来なら二本のサイドボルトを緩めればライトユニット(ライトハウジング+ライトステー+メーターバイザーを組み付けたモノ)がアンダーブラケット部のヒンジを支点に前転して解放出来るはずです。
で、サイドボルトを緩めてライトユニットを前転させようとすると、滅茶苦茶固いです。
ヒンジ部のピポットボルトが豪快に締まって動きません。
そこで、ボルトを緩めて、なんとか前転させようとすると、、、今度は、アクセルワイヤーが怪しい取り回しで、ライトステーの動作を阻害するようになっています。アクセルワイヤーの取り回し、どう見ても嘘でしょう、、、
で、次はアクセルワイヤーを外してライトステーからの干渉を無くしてライトユニットを前転させました。
すると、、、ライトステーとライトハウジングは本来はしっかり固定されている筈ですが、なんと、ゴム板を切り出して作られたようなワッシャを介してライトステーとライトハウジングが固定してあります。固定はゴムを介してるので、ライトハウジングが振動で揺れると軋み音が出る訳です。これは完全にNGです。構造的に、こんな固定がある筈がありません。
若干、整備不良の気配を感じます。
そもそも、構造的には、三つ又にライトユニットが頑丈に固定された状態で、リフレクターで光軸調整すべき構造です。なのに、ラバー締結でユニット全体で光軸調整を試みた形跡があります。有り得ません、、、、。
何故に、ゴム板を切りだして微妙な位置にライトハウジングを固定しているのでしょうか?
調べると、、、判りました。
なんと、光軸アジャスターを回しても光軸が動かないのです、、、、でも、そんな筈はありません、、、、光軸アジャスターの動作不良ということは、故障か異常があるということです。
で、光軸アジャスターボルトを抜き取ってみると、アジャスターボルトの先端がボールジョイント構造であり、アジャスターボルトを右に回すと手前を照らし、左に回すと遠くを照らす筈です。ボルトが抜き取れると言う事自体が有り得ません。
取り敢えず、光軸調整が機能しないので、レンズパネルを外してリフレクター背面を確認すると、、、案の定、光軸アジャスターの先端ボールジョイントがリフレクター側の受けから脱落しています。
そこで、ボールジョイントをしっかり固定して、組み直しますと、、、今度は、アジャスターの連動してリフレクターが動きます。
ただ、ボールジョイント部のガタの分だけ、リフレクターのガタが残ります。
でも、漏光の原因だった欠品していたバックパネルの蓋、これを中古パーツで調達して組み付けます。ただ、バックパネルの蓋は、このモデル用とは違います。同じライトユニットメーカーのライトを搭載したモデルのライトから流用しました。当然、色々と修正が必要ですが、それも処置します。このバックパネルは、ラバー製でバルブプラグを介してリフレクターのダンパーを兼ねたモノです。
そこで、このバックパネルを装着すると、見事にリフレクターのガタも解消です。光軸調整も完璧です。
つまり、納車段階では、光軸アジャスタージョイントが外れた状態がそのままで、それで強引に光軸調整されてました。そのために、三点固定の内、二点のライトハウジングとライトステーの固定がラバーで甘い変わりに、ヒンジ部を豪快に固定して光軸を保っていたのでしょう。強引過ぎるやり方です。
今回、ハウジング内の光軸アジャスターボルトのジョイント部を修正し、バックパネルで漏光、ガタツキを解消しました。
なお、今回の整備では、ライトステーをライトハウジングを固定するキャップボルト、ライトユニットをフォークに固定するキャップボルトも汎用のステンレスボルトが用いられていましたが、どれも長すぎます。結果、一箇所のボルトは締め切っても固定出来ていない事も判りました。ボルトの長さは適切なモノに変更して全て組み直しました。そして、ライトユニットのヒンジのピポットボルトもカラーを適切に配置して正規のネジを使ってスムーズに開閉出来るように改めました。完璧です。
これで夜間走行すると、漏光、軋み音、いずれも解消しまいた。
で、思いました、、、、昔の友人が大昔にCXを納車整備してくれた時に、同じ様な箇所の整備を請け負ってくれましたが、非常に細かい作業で、後に感動した事を思い出しましたが、本来、そういうクオリティっていうのは稀な事なんだと言う事です。
まぁ、今回の状況も、普通なら気付かないのかも知れません、、、、でも気付いたら、チョット残念ですね。
バイク好き素人の自分でも、この程度の対処は行いますが、こういう見方でモノを判断し、持ち主、メカニックを判断するのは、、、、そう、今は亡きショップオーナーの友人との付き合いあっての事のように思います。モトルネ等で、一緒にエントラントの車両をメカニックとして、整備したりカスタマイズしたりした事が今も活きているのでしょう。
やはり、彼は、今迄知り合ったメカニックで、ベストな腕と配慮を持っていたのだと思います。亡くなって12年になりますが、やはり寂しいモノです。
彼の息子も、もう成人している頃、跡を継ぐという話しだったけど、、、少し気になるな。
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