松本零士と宇宙戦艦ヤマト
今更だけど、この漫画、自身が小学5年生の時公開されたアニメで、良く覚えている。
裏番組が、『猿の軍団』で、こちらの方が視聴率が高かった事も記憶している。
そんな宇宙戦艦ヤマトだけど、人気に火が付いたのは、再放送からである。
その後、続編が登場するも、これが一大コンテンツに成長してからは、西崎義展氏と松本零士氏の争いにより、『宇宙戦艦ヤマト』は迷走を始めたように思う。
争いの結果、『宇宙戦艦ヤマト』は西崎氏の物となったようだけど、松本零士さんが手掛けなければ、このようなコンテンツにはならなかったように思う。
『宇宙戦艦ヤマト』の人気の秘訣、当時の子供からすれば、登場するメカのデザイン、人物のデザインの格好良さが第一にありきであり、内容というのは番組が進行してからの話であり、人気の発端は何よりも、そのデザインが全てだったように思えるからだ。
法定闘争後も『宇宙戦艦ヤマト』のコンテンツは、リメイクされ、それなりの人気を博しているようだけど、小学生時代にメカの格好良さで引き込まれた自分の場合、近年の作品である『宇宙戦艦ヤマト2199』のような作品には、あまり関心が沸かない。ストーリーは基本的に同じようで、アニメは最新の技術によって緻密感が増しているようだけど、メカのデザインは基本的に同じであり新鮮味が無い。言ってみれば、40年前の未来を今見せられている印象で、過去の未来イメージに過ぎないからだ。更に、登場するキャラクターが、完全にアウトである。松本零士の描く男性キャラ、女性キャラは、一目で男女の区別が付くもので、それでいて基本は松本零士の画風を特徴とする漫画のキャラクターに留まっていたので何も感じないけど、『2199』版の女性キャラクターのデザインは、漫画自体がSFアニメというものでは無く、SF調同人誌アニメ的キャラクターにしか見えないのが、とても残念な印象。
この『宇宙戦艦ヤマト2199』がテレビ放送されているのを見付け、暫く視聴した後に、情報をネットで検索して出てきたのが、そんな萌えキャラ的な女性キャラクターばかりであり、それ以降、全く関心が失われて、残念な気持ちになったのを覚えている。
ストーリー的には無茶苦茶で、二流漫画的な印象しか持てないけど、松本零士氏が描いた『新宇宙戦艦ヤマト』とか『超時空戦艦まほろば』とかの方が、メカデザイン、キャラクターデザイン的に安心するのが本音である。
こういう見方の人は少数派かもしれないが、漫画というと作者の画風が気に入るかどうか?がかなり重要なような気がする。っていうよりも漫画を見た瞬間に作者が思い浮かぶような作品の方が、個人的には好みだ。デザインを見ただけでは作者が判らないような漫画というのは、なんだか関心が沸かないというのが自分の場合の感想である。
基本的に、フィギュア化されて性的特徴が過度に表現されたようなスタイルと衣装を纏う女性キャラクターが登場するようなアニメ作品というのは、関心が沸かないというか、品の無いエロ本にしか見えないというのが感想である。『宇宙戦艦ヤマト』の森雪を例にとれば、松本零士の描くものは、松本零士なりの女性キャラクターに過ぎないけど、『2199』版のそれは、何故に、女性の性的特徴を過度に入れなければならないのか?という点で納得出来ないと言うか、そういう作風も支持を得るために利用しているのか?という印象を持ってしまう。今時のSFアニメ、漫画から、スマホ等のゲームアプリに登場する女性キャラクターというのは、TVのCM等でも度々登場しているようだけど、あのような性的特徴を表現する意味というのが理解出来ない。
漫画とか、アニメでは、あの方向で過剰にダイレクトな表現を行うと、単なる色情漫画にしか見えない気もする。
女性キャラクターを描かせたら、笑える程に下手くそと言えるような、しげの秀一さんとか、楠みちはるさんの漫画の方が遙かに面白い。女性の誇張にしてもキャラクター全体が人間と言うより人形的になって完全に現実離れしている新谷かおるさんの漫画の方が普通に読めるように思う。
因みに、初代の『宇宙戦艦ヤマト』以外で、リメイクされた最近のヤマト作品なら、実写版の『Space battle Ship ヤマト』の方が楽しめたような印象。ヤマトこそ昔のデザインだけど、登場人物の衣装を含め、作品内のデザインの設定は、多くは現代解釈の未来のデザインであり、そちらの方がしっくり感じたモノである。
松本零士さんのデザイン、画風が、この作品にはとても重要な位置を占めているというのが個人的な印象。リメイクには、その上で現代なりの未来の解釈を加えたモノなら実写版ヤマトのように抵抗無く見れるけど、未来の解釈ではなくオタク的というか萌えキャラ的というか、下品な風俗的というかそういう解釈が加えられると、物凄い抵抗感を感じるというのが個人的な感想である。
まぁ、それでも、相当にヒットしたようなので、これを支持する人の方が多いんだろうけど、、、、チョット残念。
因みに、『宇宙戦艦ヤマト2199』が公開されて以降、自分は、松本零士さんの漫画を新旧大量に買い込んで読んでみた。昔の四畳半関連から、戦争モノ、ハーロック、エメラルダス~新ヤマトといったSFモノ、999を始めとするSF列車モノ等々だけど、自分の場合、『宇宙戦艦ヤマト』のストーリーが好きなのではなく、松本零士という作者を人目で判らせるメカ、キャラクターのデザインが登場する作品が好きと言う事を改めて認識した次第である。
残念なのは、松本零士さんの作品の多くは、色んな理由で途中で途切れているものが多すぎる事。出来れば、その後を少しずつでも良いので発表して欲しいモノである。
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