タイヤコンパウンド
この度、ツーリングロードのタイヤを耐久性が高く、耐パンク特性の高いタイヤに交換することにした。自転車のタイヤ、コンパウンドによって全然違うのだ。このコンパウンドの違い、結構大事なのだ。
仕事柄、ゴムに期待する機能を付与するために、配合や加硫の部分でリクエストを出す事が日常的であり、ゴムというのは用途、用法に応じて様々な調整を加えて製造する事が可能という認識を持っている。
当然、二輪、四輪のタイヤも然り。そもそも、タイヤのコンパウンドという言葉の語源は、混合物、合成物質であり、タイヤのゴム自体が調整物質なのである。
因みに、タイヤの主材は見ての通りにゴムある。合成ゴム、天然ゴムと合成ゴムのブレンドゴムが主材である。これに調合材を加えるけど、主なモノがカーボン、硫黄というのが二大物質。このカーボンと硫黄は、相反する機能を付与する調合材であり、これらの調合比によって機能が与えられている。
カーボンはゴムの強度を確保するもの。言い換えれば硬さが増すモノ。一方で、硫黄はゴムの弾力を確保するもの。言い換えれば弾性、柔らかさを増すモノ。
つまり、タイヤは、主材のゴムにカーボンを加え、加熱加硫して製造する。
同じ原料であっても調合を変化させることで、コンパウンドとしては全く異なったモノとなる。耐摩耗性を重視するもの、グリップを重視するもの、それに応じたレースタイヤ、エコタイヤ、、、、、原料は同じであっても、調合が異なるのでコンパウンドとしては異質なモノなのだ。
このコンパウンドの違いは、自転車、単車、四輪の何れも、同じメーカー内であってもブランドが異なれば調合が異なっているのだ。
なお、コンパウンドの違いというのは、カーボン、硫黄の添加比によって物理物性としてゴム硬度に差異が生まれる。厳密には、軟化溶融温度等の調整も様々な添加物質によって調整されているけど、大雑把には、ゴム硬度計を用いれば顕著なコンパウンドの違いが明らかになる。因みに、タイヤは経年変化によってゴム硬度も変化したりする。そんな変化も硬度計で測定出来る。硬度計では、ゴム厚が極僅かでも正確に計測できるので、一つあれば便利だ。
以前、単車のショップの方から、今時のスタンダードタイヤのコンパウンドは、昔のハイグリップタイヤのコンパウンドと同じ、、、理由は、生産性、、、、という話を聞いたけど、ゴムの半専門家に何て事を言うの?って思った事がある。まぁ、そんなときは、笑ってスルーが基本だけど、、、ゴムの製造工程を理解していれば、ブランド毎にコンパウンドを調整するのにコストは差程発生しないのだ。スタンダードタイヤ、ハイグリップタイヤ、、、、当然、コンパウンドは違うし、それぞれの劣化耐性も違うし、劣化後の硬度変化率も違う。
それは兎も角、今度のロードのタイヤは、重くても良い、グリップが少なくとも良い。頑丈で、厚めで、硬いタイヤとなるかもしれないけど、そういうタイヤに換える予定だ。まぁ、タイヤについてはゴム硬度をオーダーする訳にはいかない。ラインナップから選ぶもの。
ただ、ゴムのワンオフパーツを作成する場合は、その限りではない。
因みに、ゴム配合の調合をオーダーする序でに、スチールのフラットバーを加工した材料の裏にゴムを加硫接着して貰ったりして、単車のシングルシートフレームベースをワンオフして作ったり、欲しい硬度のゴムシートを調達して、スクリーンを固定するラバーワッシャを作ったりする。因みに、知らない人も居るかも知れないけど、ゴムは金属やセラミックスと化学結合させる事も可能だったりする。
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