キャリアと重心位置
このところ、自転車のキャリアについて考える事が多い。
切っ掛けは、ツーリングロードに26インチファッションサイクル用軽量キャリアを強引に装着した事から始まる。
そもそも、キャリアというのは、大型のモノを前後装着ならキャンピング、中型のモノを前に装着ならランドナー、小型のモノを前に装着ならスポルティーフ、ロード等では付けてもサドルバック程度で、キャリアを装着する上での基本は、極力低重心、そして、マス集中化というのが基本と考えている。兎に角、低く、真ん中に、、、、これが荷物積載での基本という認識である。
キャンピング等で振り分けバッグを装着するには、振り分けた鞄を極力低い位置に搭載出来る構造、タイヤ上のキャリアもタイヤとのクリアランスを最小とする構造しか思い浮かばないが、これも低重心、マス集中化に照らし合わせれば、何の違和感も感じない。
しかし、、、今時のキャリアというのは、汎用性を重視しているせいか、低重心&マス集中化という基本思想から懸け離れたような装着形態のモノが溢れている。汎用性を重視すれば、車体形状の影響を受けづらい位置に装着するのが基本だから、自ずと、低重心&マス集中化からは懸け離れるのも当然といえば当然だ。
更に、汎用性、装着性を重視している構造は、キャリアの筐体として形状の安定性という面から見れば、決して頑丈とは言えない。これは装着の汎用性を高めるために、キャリアを固定するステーが固定位置を調整出来る構造が原因である。
ダボの無いエンドと固定する箇所には、エンドアダプター経由のクイックシャフト留めであり、真上からの荷重を受け止める事は出来るけど、前後方向のズレに対しては非常に弱く、走行振動によってキャリア面が前後に傾くのは当然の構造である。センター位置の固定が平板ステー故に、キャリアの傾きに対しては全くの無力なのである。
キャリアとステーのジョイント部もネジ、リベットによる固定となっている場合が多く、これもキャリアの前後傾きに対して全く無力な構造である。
最近多く見掛けるシートポストキャリアも然りで、一点留め故に、車体の揺れと共に、キャリアも左右に大きく振られる構造である。これは、重心から離れた高い位置に荷物を装着するので、ペダリング等の際には無視出来ない乗りにくさの原因となっている。
このように考えると、荷物の量に応じてキャリアへの要求が変わるけど、そのキャリアの形態に応じて車体のカテゴリーを選ぶというのが正解のように思う。物理的に不可能ではないが、本来の用途を越えた使い方は不可能ではないが、それによって本来の性能をスポイルするのであれば、用途に応じた選択を考えた方が良いという印象である。
仮に、それでも望みを適えるのであれば、やはり、本来の使途の範囲+荷物装着の基本である低重心+マス集中化の前提を守り、モディファイを加えるのが正解のように思う。
実は、汎用品で安価に仕上げる以上に、専用構造で軽量高剛性と低重心マス集中化を図るべきかもしれない。
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