軽く走る秘訣
秘訣という程のモノではないかも知れない。単車で軽やかに走る際に必要なモノは何か?
軽やかというのは、優れた加速とか、引き起こしが軽いとかとは違う。軽やかに走るっていうのは、挙動や姿勢を変化させる時に、思った瞬間に即座に行えるという意味。
そういう意味では、状態を変化させる速度域において、一定の動きを保とうとする慣性に抗って姿勢を変える事が出来る力を有するか否かが鍵。つまり、必要なモノというのは、走っている速度域におけるレスポンスとトルクの絶対値、これが必要なモノと言える。
軽い車体にアクションを加えるという部分は、姿勢変化の切っ掛けを与える部分。その切っ掛けを使って運動を完結させる上で必要なのは、動作に対して動きを大きく与える事ができる重量の軽さよりも、不安定化した状態を次の安定な状態に移すための力という事。
この力は、その瞬間に取り出せる必要があるので、何時でも瞬時にという意味では、高回転高出力傾向で、特定の回転数でのみレスポンスやトルクを確保しているような乗り物では、物足りないということ。勿論、乗っている時、常時パワーバンドを維持しているのならば問題無いかも知れないけど、気を抜いて走っている時でもサッと反応してくれる事を期待すれば、パワーバンド、トルクバンドがタイトなエンジン特性では厳しい事になる。
話が前後するけど、車体にアクションを加える時、姿勢変化の切っ掛けを素早く行わせるには、絶対的な軽さが有利だけど、軽さが無いとダメという訳でもない。大きな重量であっても、切っ掛けを与える操作部分に効果的な力が加える事が出来るような配置やレイアウトが確保されていれば、それはそれで問題無い。言ってみれば、或る意味では、テコの原理を活用出来るようなレイアウトであれば、重量が大きくても、小さな力を増幅して与える事が出来れば素早いアクションを生む事が出来る。実は、重量車にアップハンドルが多いのは、そういう要素が加味されているということを意識するだけで、単車の動きは大幅に活性化するもの。
重量車であっても、切っ掛けを大きく与える工夫が為され、更に、全域トルクバンドのような乗り物であれば、見た目の穏やかさ、スペック上の車重が大きかったとしても、実は、見た目以上の俊敏さで軽やかに走る事が出来るのである。
重量車でもクルクルと走れるのは、そういう特性を理解して活用しているからに他ならない。
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