儀式
単車に乗る。跨って、メインスイッチを捻る。そして、燃料コックを『ON』の位置に合わせる。気温に応じてチョークレバーを適切な位置に引く。アクセルを操作せず、セルスイッチを押す。大抵は、ワンプッシュでエンジンは始動する。始動した直後、チョークの引き量と気温のバランスによってアイドリング回転数が決まるけど、全気筒が失火せず、しっかり回転する下限の回転数となるようにチョークの引き代を調節する。
大抵は、2~3分でチョークを戻してもアイドリングが安定する状態となる。
発進前に、極僅かにエンジン回転が反応するのを確認する程度のブリッピングを行って、十分反応する事を確かめてスタートする。
これがバイクに乗る時、エンジンを掛けてスタートする迄の儀式だ。
この操作が手順通りに必要なのは、我が家では2ストロークモデルとAV50だ。
それ以外のモデルでは、負圧コックが装備されているために、コック操作は不要となっている。ただ、個人的には負圧コックよりも普通のマニュアルコックの方が好みである。負圧コックというのは、負圧が発生してから燃料が流入するので、不調時に燃料が出ているかどうかの確認時には、負圧無しでも燃料が流れている状態が見える方が好きだ。負圧コックでも、レバーポジションが『ON』、『RES』、『PRI』ならOKだけど、『ON』、『RES』、『OFF』というのも困る。出来れば、負圧フリーで燃料が流れるポジションが欲しいところである。
また、チョークレバーも冬場に久しぶりに掛けるとき、冬場でも1時間程度の停車後に掛ける時、夏場、、、、によって引き代を程良く調節して使うのが合理的で判りやすい。
個人的には、コックレバー、チョークレバーというのは単車に備わっていて欲しいのだが、これが残っている車両は極めて少ない。
インジェクションの出始めの頃はチョークレバーを持つモデルも在ったようだけど、最近のモデルは四輪車のようにチョークレバー自体が存在しないモデルが多いようだ。
操作の単純化が進むのは良いかも知れないが、操作が単純化する程、メカニズムが複雑化するのである。個人的には操作に段階があったとしても、単車のようなモノはメカニズムが極力単純化されている方が好みだ。制御が入る程、異常時対応、修理時の部品交換が複雑化、高価格化するのは、長く乗る上では、どちらかと言えば欠点となるように思う。
個人的には、単車に乗るという行為には、儀式が在った方がよいような気がする。その過程の中で単車のコンディションを探るのも、儀式の役割の一つのような気がする。
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