ホラーでないゾンビ映画『マギー』
チョット古いけど、アーノルドシュワルツェネガー主演のゾンビ映画、『マギー』って作品をCS放送で視聴した。
アーノルドシュワルツェネガー×ゾンビといえば、肉体派の正義のヒーローが武器を使ってゾンビをなぎ倒して世界を救うというイメージになりがちだけど、本作は、それは一切無し。
登場するゾンビの数も非常に少ない。ゾンビ自体は、バイオハザードシリーズに登場する俊敏で破壊力抜群のゾンビとは違う。一番最初の昔のゾンビ映画に近い緩慢な動きの弱いゾンビである。
まぁ、ゾンビ自体が、俊敏かつ殺傷性の高い生き物という設定自体が本来からすれば間違い。ゾンビというのは死体だから死後硬直等で動きが緩慢でなければならないので、本来のゾンビが登場している訳で、こちらのゾンビが正解とも言えなくもない。
それ故に、緩慢なゾンビ×シュワちゃんなら、シュワちゃんの圧勝である。初代ゾンビでは、緩慢であっても大量に発生したゾンビ故の恐さがあったけど、本作では緩慢なゾンビが僅かに登場するだけで恐さは一切無しである。
言ってみれば、ここで登場するゾンビというのは、人格や人間性を喪失し野獣化する不治の病に罹患した患者というイメージ。そういう人格を失う対象に如何に接するか?というのがストーリーであり、実は主人公はシュワちゃんではなく、人格を失いつつあるゾンビ病の患者の葛藤を描いた作品なのである。患者の重症化に伴い人間性を失い野獣化する状況への葛藤で示す態度や行動の変化が鍵と言える。その心の変化に、シュワちゃんの演ずる近しい人が如何に野獣化症状の進行に影響を与えるか?が見所なのである。
そういう意味では、シュワちゃんの演ずるゾンビ化する娘の父親と、ゾンビ化しながらも父親に守られる娘の関係性を見るという意味では、悪くない作品のように思う。
個人的には、この『マギー』という作品は、結構、お気に入りである。不治の病として『ゾンビ』を選んだのは、現実的な病名で憶測や批判を浴びるリスクを考えれば良いチョイスだと思う。また、ゾンビを本来のゾンビとして定義して登場させているのも好感が持てるのである。そもそも、俊敏に走って集団で襲ってくるゾンビっていうのは、やりすぎ感ハンパ無いし、その定義自体が冷静になって考えれば有り得ない。
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