プレスフィットBB
今時のカーボン自転車の駆動系は、これが基本。これはフレームのハンガー部分にBBを取り付ける時、ベアリングシェルを圧入によってフレームに装着する方式。
この構造は、フレームの穴に左右外側からベアリングシェルを圧入する構造。左右のベアリングの同芯度はフレーム精度次第というのは従来のねじ切りタイプと同じ。圧入によってベアリング自体は大径となり左右ベアリングのスパンは従来構造よりも大きくなる。
これによって、大きなトルクを与えても精度が保たれるというのが売り。
しかし、過去のサイクリングでは同行するサイクリストのBB辺りからヒルクライムとか高速走行中には変な規則正しいノック音が聞こえて今一という印象の方が強い。
このプレスフィットで圧入による固定力を高めるには、穴径が大きい程良い。これはフレーム側からも好都合だけど、圧入部自体の固定力が何よりも重要。モノによっては樹脂スリーブを介在させてフレームを守る構造もあるけどスリーブというかシムというか、そういうモノを介在させる時点で剛性が維持できるか?も怪しい。樹脂使うなら意味無いジャン、、、というのが個人的な感想。
そもそも圧入というのは金属相手だから通用するものであり、果たしてカーボン繊維の場合どうなのか?が結構怪しい。特にBB部の繊維の編み方等を考えると、筋書き通りの高性能、高剛性が得られるか?も怪しい。
樹脂スリーブの無いアルミ製のものというと、精度ありきとなる。
更に、最近は両サイドからベアリングシェルをネジで締めて固定するタイプがある。行ってみればフレーム側の貫通穴にボルトナットで両サイドから締めて固定するという意味。
プレスフィットBBユーザーから絶賛されているけど、それ程のものなのか?締める程、締結力は高まるけど、締める程、フレームに掛かる応力負担が大きくなる。両サイドからサンドイッチされる訳だ。それもモナカ状のシェルを左右から締め込むというのは個人的には一寸気持ち悪い。締めたところでBBシェルとハンガーの締結は押し付け摩擦力で固定されているだけだ。この構造の場合、左右から締める程、本来のプレスフィット面のフィット力のバラツキが大きくなる。結果的に左右からの締結で締めるという本末転倒化となっている。
左右から締め込むタイプはシャフトとシェルとベアリングのクリアランスは正常に保たれるから異音は出なくなるけど、その負担はBBシェルとフレームの固定面に集中する。締結を強くする程、フレームにダメージが蓄積するということである。特に締め込む時に圧入面に周状痕を残すのは今一。
こう考えると、従来のねじ切りタイプのBBに勝るモノはない。そもそも、その辺のサンデーユーザーが踏んだくらいで剛性不足が露呈するようなモノはない。競輪選手のピストバイク、NJS仕様というとねじ切りのカップアンドコーンで耐えられるもの。メンテナンスを考えると、ねじ切りBB+シマノキャップレスクランク、カンパウルトラトルクは悪くないけど、正直、BBをプレスフィット固定する意味は殆ど無いような気がする。
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