委託も考慮
無注水摺動可能なスラリー対応滑り軸受、大昔は分割型セラミック摺動材を円筒形状となるように配置した軸受に、径方向の膨張係数を抑えた繊維材料複合化素材を用いた軸スリーブを組み合わせてリリース。これは2000年頃に発生した軸受破損対策のために開発し、2002年頃完成、多くの原油タンカー用の原油荷揚げポンプに採用、2020年時点でも稼働中。他には、所謂ゲリラ豪雨対応の先行待機ポンプにも2005年以降採用し稼働中。こちらの特殊スリーブを用いたシステムは特許申請を行った。
その後、第二世代製品では、軸スリーブはこのままで、軸受側をセラミックスを用いた複数の種類の材料を組み合わせた形態から、金属材料を加工して製作する単一材料からなる形態に変更。第一世代製品を上まわるシステムを開発。
次の第三世代製品では、軸受を第二世代製品として、軸スリーブを形態複合化材料から素材複合材料に改めた素材に変更しコストダウンを実践。特許申請は2010年頃、特許取得は2019年。同様のシステムで材料を強化したシステムが第四世代製品。軸受は第三世代製品をベースに摺動面に硬化処理を施したもの。軸スリーブは第二世代用スリーブをベースに珪化処理を施し、超高硬度化し耐摩耗性を飛躍的に高めた仕様。第二世代~第四世代製品は基本構造が同じもの。この中で第三世代用軸スリーブと第四世代用硬化軸受の組み合わせ、便宜上3.5世代製品が実際の市場に出回っている。出荷は2007年以降で実績は10年以上となる。用途は先行待機ポンプの他に、ドライ状態での管理運転を行う下水ポンプに数多く採用されている。
近年、これらのポンプは非常に大型化しており、容量は当初の3000m3/h程度だったものが、その10倍以上のスケールとなり、軸受径が当初のφ100~140mm程度だったものが、φ250~350mmと巨大化している。ポンプ自体のサイズも高さで20m級と大型であり、それに用いる軸受の大型化と必要数量の増大という状況。
当初、φ100mm程度であれば軸受システム1ユニットで20万円程度だったものが、近年の大型化したものは1ユニットで10倍以上の価格となる。必要数量が二桁単位の事も多く、その場合、一工事で戸建て住宅の価格を超えるような金額となる。
こうなってくると、個人で賄う商売としては、扱う金額が大きすぎる。正直、将来、供給責任を果たすためとは言え、そういう商売を行うつもりは無い。
2021年初頭に特許申請を行った最新のシステムは、軸受システムは第三世代以前の安価な金属加工品ながら、スラリー中での耐摩耗性を大幅に向上させたシステム。恐らく、将来的にいは、ことシステムに全て入れ替わる筈。安価な素材のみで構成しつつも、形状に工夫を施した軸受と軸スリーブからなる仕様。ただ、対応ポンプのサイズから考えると軸受システム1ユニットで三桁万円になるのは不可避だろう。そして、一工事の契約金額も、やはり、戸建て住宅、分譲マンション並の価格になるのも不可避。一工事での利益率を考えると悪くない話だけど、これを自分で商うつもりは全くない。
個人的には、儲けよりも、誰も出来ない事を自分なりに行うのが目的であり、それで儲けるのは想定していない。ということで、権利を含め、将来的には、何処かに全て委託して任せるということを考えたいところ。
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