最近の単車
2000年代以降の二輪ニューモデルを見て思うこと。
電子制御デバイスの登場により、新しい機能が追加され多機能化が進んでトータルとしての高性能化が進んでいるようにも見えるけど、電子制御デバイスの活用というのは、初期の頃は別としても現在では高性能化よりもコストダウンで製品作りに大きく貢献しているような印象。
単体のモデルに専用機能として加えるようなパターンでは考えられないが、現代のラインナップにおける機能の普及というのを見ると、今のモデルが持つ電制デバイスによる機能はラインナップの複数のモデルにおいて共有されており、一台辺りの開発コスト負担率は、それほど大きくないだろうし、複数の電制デバイスは統合されており、制御ユニットを中心してみれば、構成は寧ろシンプルになっているのが特徴。複数のモデルに同系の電制デバイスが搭載され、制御は複数の機能を統合して行われているのが特徴。こういう状況を見ると、機能は向上しているだろうけど、構成はシンプルになり結果、コストは低く抑えられているかの印象。
こういう状況を見ると、多くの製品は電脳化が進んで電制デバイスが統合的に管理された状況というのはトータルでみると、電制デバイスが普及する以前のモデルに較べるとコストは大きく削減されている様子。恐らく、車両の製造コストは昔よりも更に圧縮されているのだろう。制御の電制化と異なり、制御対象のブツが相手の場合、コストダウンといえば製法改善、材質改良しか手立てはないが、新しいモデル程、フレーム等々を見ると昔とは大きく異なっている。フレーム材質は本気のスーパースポーツ以外はスチール、スイングアームも然り。こういうパーツは電制化によってコストダウンの効果が得られない分野であり、そういう部分がこのように変化しているのを見ると、車両の進化の歴史というのは、高性能化の歴史というのは建前で、実はコストダウンの歴史といって差し支えないだろう。
このようにコストダウンが電制デバイスの採用と電脳化によってもたらされた現代の車両は、制御系統が統合され一括制御された状態となっており、こういう構成の車両達が30年、40年の時を経ても良好なコンディションを保ち、不調時に手軽に修理出来る状態を保っているか?というと、かなり疑問。制御が統合されていると、系統毎の不調を探るという事が難しくなる。修理というとブラックボックス化された統合管理する集中ユニットの交換という事に成りかねない。電制化が進むと制御信号のやりとりは、ハーネス、基板、スイッチ類での信号の往来。この不調を探り当てるのは目に見えないだけに、相当に苦労しそう。将来を考えると2000年代以降に生まれた車両というのは、もしかしたら現代の旧車ブームを支える車両は30年、40年以上経っても良いコンディションを保てているけど、そういう長期に渡りコンディションを維持し続ける事は不可能なのかもしれない。
電制化、電脳化というのは一見、高性能化、多機能化の恩恵をユーザーに提供しているかもしれないが、長期的な視野に見ると、特に、寿命的側面ではリスクを負わせているような気がしてならない。
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