もうすぐMotoGPの2024シーズンが始まる。ホンダ、ヤマハは近年苦戦が強いられている。で、今年こそ!という感じで昨年のポストシーズンテスト、今年のプレシーズンテストで開発に勤しんでいるようだけど、ライダーからポジティブな意見はあまり聞こえてこない。
昨年から聞こえてくる日本メーカーのマシンのウィークポイントというと、トップスピードが劣る、メカニカルグリップが足らない、、、そんな話。それで、乗りにくいという風な話。それで、躍起になって開発を進め、ヤマハ等ではテストにおいて最高速ではトップスピードを叩き出すまでに至って来ているようだが、それでもトータルのラップタイムでは欧州勢に1秒近く引き離されており、開幕前だけど、既に勝負にならない、、、そんな印象である。
現在、メカニカルグリップが足らないということ等で、日本メーカーが追随して開発を進めてきたのがエアロダイナミクス、そう、空力面の開発である。結果、2023年シーズンモデルと2024年シーズンモデルを比較するとウイングレットの形状が相当に変化しており、その開発に取り組んできた事が伺える。
ただ、、、、個人的には、それって違うのでは?というのが素人ながらの感想。
そもそも、メカニカルグリップ不足というのは、結局はコーナーリングからの立ち上がり時の話。エアロダイナミクスが効いてくるのは最高速領域だからストレートエリアの話。空力開発を進めてもメカニカルグリップ不足は改善しないのでは?という風にしか考えられない。更に言えば、トップスピードが欧州勢に対して日本勢が劣っているのはエンジンパワーが足らないのか?ということ。そうではないのでは?という風に思えてくる。トップスピードというのは、最も低い速度+加速した速度であり、加速開始時点における速度が高ければ、加速した速度が劣っていても最高速度は稼げるという話。この辺を考えると、速い速度のコーナーリングが可能か否かという事が原因では無いか?とも考えられる訳だ。
速い速度でのコーナーリングが可能という事になれば、ブレーキングも程々で良い訳だ。それで高い速度でコーナーリングして立ち上がり時点で速い速度を維持していれば、過激な加速に頼らずともトップスピードが得られる、、、、そのように素人考えで思ってしまう。
何故に、そう思うか?というと、テストにおいてホンダから移籍したMマルケスとドゥカのバニャイアの会話からも伺い知れる。その話を聞くと、ホンダ機は一気に減速して向きを一気に変えて加速するスタイル。ターンインからの立ち上がり迄は車体のクイックさが命、それを活かすために高車高、短めのホイールベースで不安定な車体をベースに作っている印象。一方でドゥカ機は安定した車体で車速変動幅が最小、高い速度でコーナーをクリア、そして安定した車体で加速に移る、つまり長めのホイールベースで安定した車体をベースに作っている印象。車体を安定させるには、ロングホイールベース、そして低重心が基本、これに加えてホイールベース、スイングアーム長、キャスター角を組み合わせて車体のパッケージを組み上げる。そして、安定させるためにはアクセレーションによる変動が車体に影響を極力及ぼさないように大きな慣性をエンジンに与える。そう、クランクマスを増やすような工夫が為されていると考えるのが最も合点が行くように思う。
マルケスの乗り方がコーナーの入口勝負であり、それ故にホンダ機が過激な不安定さの上に組み上げられており、それ故にマルケス以外のライダーが乗りこなせなかったというのが数年来の状況になっていたと考えるのが自然に思う訳だ。
そんな訳で、メカニカルグリップ不足というのは、エアロとかECUとか、そういう事以前に車体の基本的なパッケージが今の時流に合ってないというのが最大の原因かな?と思うところ。メカニカルグリップを得ようと思えば車体は安定志向。つまり、長くて低い車体、これが最初にありきということ。そういう車体を作ろうとすれば、ドゥカやホンダ等、ヤマハ以外の選んだV4で有る事が勝つための必然的な要素の一番手のように思う。
その上で、そのエンジンを極力低く前よりに配置し、車体がのびたとしても姿勢変化が最小限となるような長いスイングアームを与え、アクセルを開けた時に発生するクランクの偶力がリフトを抑えスイングアームを介してリアタイヤを地面に押し付けるようなクランクの回転方向を与えるというのが必要な形なので現在のトレンドなのだろう。現代のMotoGP機は恐らく全てが逆回転クランクを採用している。
この辺が上手く噛み合っているのが欧州勢の機体の持つ特徴になっているように思う。
開幕前のテストでヤマハ機に乗るクアタラロが訴えるメカニカルグリップ不足というのは、パッケージの持つ限界を露呈してしまっている、、、そんな風にも見える。
逆に、開幕前のテストではタイム的には苦しんでいるように見えるホンダ機だけど、2023年モデルに対して、長く低くなっているという。これは、メカニカルグリップを得る上では大きく寄与しているのでは無いだろうか?回転方向についてはホンダ機は恐らく今年も逆回転クランクを採用しているだろうけど、クランクマスがどうなっているか知るべくも無いが、もしかしたらホンダ機に関しては比較的速い段階で、或る程度の競争力を取り戻すのかな?という気がしないでもない。それがプレシーズンテストを見守ってからの感想である。
さて、いよいよ開幕。今年も楽しみだ。
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