リアブレーキ、要るだろ
四輪と二輪の最大の違い、それは、、、、ブレーキシステムが前後で単独操作が可能となっている点だ。前後で単独操作出来る、、、これには当然、意味がある。意味があるからそうなっている。そして、リアブレーキってのは前輪のような強大なストッピングパワーが得られる構造になっていない。一般に、リアブレーキってのは小径ローターに小さなキャリパーという構造である。そうなっているのも、当然、意味がある。
最近、ネットで面白い論評を見付けたけど、それはリアブレーキ使用を頑なに否定する論だ。そんな論者ってのは、還暦過ぎのリターンライダーだから、そんな論調に同調する人は居ないと思うけど、彼のブログを斜め読みすると、物凄い否定の仕方で、少しイラッとする。
まぁ、そんな事は兎も角、個人的には冒頭の理由によってリアブレーキってのは、やはり意味があると考えている。実際、自分は80年代の走行距離が月に4000kmを越えていた頃というと、リアブレーキの消耗は異様に速かったように思う。特に、2ストロークの350ccとか400ccといったハイパワーモデルに乗ってからは結構な頻度でパッド交換を行っていた。
では、どんな時にリアブレーキを使っていたか?というと、何と言っても、姿勢をコントロールする時だ。80年代半ば、レプリカ全盛期というと、レプリカバイクが大好きな峠小僧っていうと、多くが峠に通って、必要に応じて単車をカスタムする、、、これがトレンドだったように思う。当時のカスタムというと、三種の神機ではないが、ハンドル、マフラー、バックステップ、、、これが基本である。逆に言えば、それさえ換えてないのは、当時の峠小僧から見れば初心者的な扱いだったように思う。ハンドルといえばセパハン、マフラーといえば、マルチなら集合管、2ストならチャンバーである。これが基本で、更に進むと、ブレーキホースのメッシュ化、ステアリングダンパーの装着である。80年代半ばってのは足周りスワップは殆ど為されて折らず、足周りスワップが流行り始めたのは90年代以降である。で、80年代における足周りモディファイというと、フォークの突き出しの変更、或いはスプリングの強化というのがトレンドだったように思う。自身、足周りスワップは1987年に行ったのが最初だけど、当時は他に誰もやってなかったはずだ。足周りスワップというと、スワップ出来るモデルがスクラップ市場に出回っていなかったのが最大の理由。スワップパーツというと1988年式以降のレプリカモデルの事故車から取るのが基本であり、そういうモデルがもぎ取り出来るようになったのは1991年頃より後だったから仕方ない。そして、足周り改というと、猫も杓子も強化サス、、、そう、バネレートを上げてガチガチに固めるのがトレンドだったけど、自身は1987年に足周り改を行ってセッティングの見直しを散々行って得た結論、、、それは、固める事で強化した足周りは使い辛いという結論である。足周り改で行う方向性というのは、路面への追随性を高める、、、、これが、当時得た最大の知見なのである。
足周り強化で足周りを固めるトレンドの最大の理由、特にフロントの強化ではブレーキング時における姿勢変化を最小限に抑えるというのが当時の理由だった筈だけど、自身はそれでスワップして固めた足周りを持つ車体に信頼感を得る事が出来ず、結果的に非常に軟らかい足周りをチョイスする事で車体から信頼感を感じる事が出来たからである。
ただ、軟らかい足周りだとボトムが速く姿勢変化が大きくなる、、、そうなると、ノーマルよりも遅くなるのが問題という事に直面する。当時は、岡山県のミニサーキットである中山サーキットのスポーツ走行に通っていたけど、ノーマルのRZ350Rで57秒台、しかし、足周り改で固めた仕様では59秒台と遅くなり、足周り改で軟らかくした仕様で57秒台後半、更に、セッティング進めて56秒台に突入出来たのは、軟らかい足周り+ダンピング固めた仕様なのである。スプリングは最弱、ダンパーオイルの番手を上げる、、、これが解決の糸口だったのだ。ダンパーオイルの番手というと、当時は10番がスタンダードだけど、最高で20番、後は、20番と10番のオイルをブレンドして15番相当、17.5番相当の粘度を準備して入れて対応したのである。そう、軟らかいスプリング+固めたダンパーオイルが自分の理想の足周りだったのである。
この足周りでも軟らかい足周りでは姿勢変化は小さくないのだが、この姿勢変化を抑えるために多用したのがリアブレーキである。そう、フロントブレーキを掛ける前にリアブレーキを先に軽く引きずるのである。そうやってフロントを制動させる事でフロントのダイブ量を減らす事が可能なのだ。
更に、ミドルクラス以上の2ストロークバイクでは、全開加速を行うとフロントが直ぐにポンポンと浮き上がるのだ。これを抑止するためにフロントのパワーリフト量を制限するために加速しながらリアブレーキを制動させる事でフロントのリフト量を抑える事も可能なのである。
つまり、制動時、加速時のどちらでもリアブレーキを多用して姿勢を整えていたのだ。姿勢を整えるために、大きな制動力は不要。それよりもコントローラブルでロックさせない事が重要なのだ。それ故に、備わっているリアブレーキも小径ローター+小型キャリパー、更には、当時ならリアブレーキの制動がリアサスペンションに与える影響を抑えるためにフローティングマウントされたキャリパー配置が標準だったのである。
勿論、それだけでなく、日常においても路面グリップが低下している雨天、降雪時における制動時においてもリアブレーキの制動比率を上げて使う必要があるし、ジムカーナ的な小さな半径に於ける旋回での速度コントロールも、安直な半クラによって駆動力を制限するよりもクラッチは握らずにリアブレーキを併用しながらトラクションを制限しながら走る方が車体の姿勢が安定したりすると感じている。
そう、リアブレーキってのは、結構な速度域での加減速における姿勢制御、路面グリップが確保出来ない環境化における制動力配分での姿勢維持、極低速域におけるトラクションの維持と姿勢安定といった場合にも非常に重要な制動装置だと考えている。
まぁ、還暦間近のオッサンの持論だけど、自分の場合は、リアブレーキは非常に大事なシステムであり、リアブレーキ不要論には、とてもじゃないけど賛同出来ない。
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