雨雲の流れと防災
先記事で、広島市北部豪雨、西日本豪雨、2021年の大雨の際も、豊後水道から北上してくる雨雲が近くに来ると急激にレーダーサイト上の色が真っ赤から青~水色に変わり、居住地周辺でV字に避ける事が多く不思議に思っていたのだが、2021年の大雨の際に、雨雲レーダーを常時眺めていて気付いたことがある。
それは、豊後水道を抜ける所ではレーダーサイト上の雨雲の色が最も赤が濃い状態。この状態を保ち広島湾に向かうのだけど、江田島近辺を通過する際に風向きにも依るけど、西か東に少し進路が変わる。東に逸れた雨雲は江田島と宮島の間を抜けて廿日市から西区方面に向かい標高300~500mの山の斜面で雨雲レーダーが真っ赤に染まる。雨雲は太田川放水路から太田川に沿って北上するけど、太田川の西岸沿いの山に添って真っ赤な状態が維持されるパターン。北上中に江田島通過時に西に逸れずに残った雨雲は、似の島、黄金山を通過する毎にレーダーサイト上での色が青~水色に近づく。そして二葉山を通過する頃には雨量が大きく減っている様子。一方で江田島通過時に東に逸れた雨雲は背の低い比治山を通過後、中山方面から戸坂方面の谷筋、中山から福田、馬木方面の谷筋を通り北上している様子。北上時は牛田山の東斜面に拡がるエリア、馬木方面に抜ける谷筋では流れる川の東西斜面エリアで多くの雨を降らせている模様。
因みに、雨雲の流れる様子を観ると、標高で最低で200m以上の山が雲の進路に影響を及ぼす。一方で100m程度の標高の山は雲の進路に影響は及ぼさない様子。因みに、江田島は標高で400~500m、似の島で約280m、黄金山で約220mといったところ。
居住地から見れば、丁度南に、江田島、似の島、黄金山が位置しており、これが雨雲を作る大気の流れを東西に振り分ける防災ダムのような形で機能してくれているように感じる。
北上する雨雲は三角州を北上する程に東西から山地が迫り平野部が狭まっている。戸坂地区を越えて太田川が支流に分岐する前の地点、牛田新町地区より北部では、河川沿いの狭い平野の東西に山地が北に向けて連なっている。この谷筋を雨雲が北上することで、谷筋の東斜面、西斜面で多くの雨が降っている模様。2014年の広島市北部豪雨では特に西斜面での土砂崩れが酷い惨状を引き起こしたが、当時は東斜面の口田地区も酷い土砂崩れが起こり麓の口田南地区は土砂流入被害を受けている。
防災という面では、斜面に面しているか否かでリスクを評価しているだけだけど、実際は、東西南北に山地、海、斜面が如何に並んでいるか?が重要。南からの大量水分を含んだ大気が何処で雨を降らせるか?を考えると、北上する空気が上昇気流を作るエリア。その上昇気流を作る山体が何処にあって、そこを通過する大気がどのように進路を変えるか?という部分の方がリスク管理では重要な様に思う。
広島市においては、特に太田川~太田川放水路に沿った西側のエリアで南~東向きの斜面に造成された住宅地が特に危険度が高いように思う。次いで、太田川が分岐する手前では太田川東側の西向きの斜面のエリア、次いで、中山から戸坂に向かう谷筋沿い、中山から温品に抜ける谷筋沿い、更には海田から呉に向かう広島湾に面した急斜面といったエリアの危険度が高いように思う。
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